マヤ・アステカ遺跡へっぴり紀行 ――メキシコ・グアテマラ・ホンジュラス・ベリーズの旅
歴史ミステリー番組やドラマで頻繁に取り上げられる古代エジプトやローマに比べると、なじみの薄いマヤ・アステカ文明。
これまでこの文明の名を聞いて思い描くのは、ピラミッドの頂上で神に生贄の心臓を捧げる神官や、人類の滅亡を予言すると(一部で)言われる暦くらいで、どことなく陰気なイメージを抱いていました。
しかしこの本を読んで、メソアメリカ古代文明の想像もしなかった愉快な面や明朗さに触れた思いです。マヤ・アステカ文明、特にデザインがこんなにマヌケだとは!また、遺跡や遺物に添えられたユーモアたっぷりのコメントには、いったい何度吹き出したことか。
それはきっと水先案内人である芝崎さんの、面白いもの愛らしいものに対する感性の鋭さあってこそなのでしょう。前作のエジプト本しかりギリシア本しかり、それほど興味のない文明であっても、この方が取り上げるとひとまず読んでみようかなと思わせる何かがあるのです。
専門書を手に取るまではいかないけれども、古代文明ファンとしてマヤ・アステカもちょっと覗いてみたい、という方にはぜひお勧めしたい本と言えましょう。こんな古代文明本、他ではまず見かけません。
これほどまでに情報みっちり、イラストびっちりなのにこのお値段で大丈夫なの?と思わず心配になってしまうほど充実感たっぷりの一冊です。