ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)
動物園の新米飼育員と動物の触れ合いを描いた「ほのぼの漫画」かと思いきや、さにあらず。変に動物を擬人化する事もなく、人間と動物、どちらか一方の視点に偏る事もなく、動物と人間の関係性や、自然と文明の在り方などをテーマに描いた、意外なまでにシビアな作品。
かと言って、説教臭い話や理想論的な話という訳ではなく、あくまで主人公の視点に感情移入しつつ、人間と動物の在り方を冷徹に問うシナリオ作りになっている。
特に「何故、コアラは人気がある看板動物なのに、観客の滞在時間が短いのか」という動物園の経営問題から、コアラの生態を考え、そこに人間本位の考え方と動物園のあり方が問われる事になるというシナリオ作りには感心した。
また主人公の「温度を視認できる」という特殊能力をちゃんと作品の中で有機的に絡ませていく使い方も上手い。動物園の園長も外見とは違い一筋縄では行かない人物であり、主人公を動かす的確なアドバイザーであると共に、動物と人間の在り方を読者に問う作者の代弁者でもある。
あえて難点を言えば、絵柄には好き嫌いが出るかも。この作品が作者のデビュー作だからなのか、技術面はあまり高いとは言えず、個性と言うにはかなり線描が雑に見える部分が多く(特に背景や効果線の描き方が雑)、絵柄に関してはあまり良い印象が持てなかった。もう少し丁寧に描いて欲しいところ。
ただ先述したように、動物園経営を通して、人間と動物の共存共栄や、文明とは何か、自然とは何か、と言ったような哲学的な問題提起に至るまで考えさせられるシナリオは非常に質が高い。その点では小中学校などで授業の教材として使われても良いくらい。
テーマが重いだけに気軽に楽しむタイプの作品ではないが、一読する価値はアリ。
ZOO KEEPER
シンプルなルールながら中毒性の深い本作。
現在様々なプラットフォームからリリースされておりますが、
新しくZOO KEEPERを買うならDS版をオススメします。
DS本体が持つタッチパネルがそのまま本作の根幹を成す
直感的プレイに非常に適しているからです。
本作は8×8のマスの中に動物がランダムに配置されており、
任意のマスを上下左右のいずれかのマスと入れ替えて
同じ動物を3マス以上並べて消すことが目的なのですが、
本作はスタイラスペンで直接マスを選ぶことが出来るため、
非常にスピーディーにプレイすることが出来ます。
連鎖をしている最中に別の場所で3つ揃えると
連鎖として数えられますが、スタイラスで直接選ぶことで
それが非常にやりやすくなることも特筆すべき点でしょう。
ゲームモードはノーマルのほか制限を設けてプレイする
クエストやトコトンモード、対戦モードもついています。
本作はshockwave用のソフトとしてリリースされていましたが
DS版を初めとして数多くのプラットフォームに移植されています。
本作の持つ面白さは折り紙つき。
DS用の定番ソフトとしてもっておきたい一本といえるでしょう。
ZOOKEEPER ズーキーパー(廉価版)
友人に薦められて購入しましたが
ルールも単純で暇があるとつい起動して遊んでしまいます。
ゲーム内容もDSのタッチパネルシステムに合っていて
操作しているだけで気持ちの良いゲームです。
しいていえば、もう少しゲームのバリエーションがあったら良かったと思います。
是非一度遊んでみてください。
ZOOKEEPER(8) (イブニングKC)
最終巻。
動物園の新米飼育員と動物の触れ合いを描いた「ほのぼの漫画」かと思いきや、変に動物を擬人化する事もなく、人間と動物、どちらか一方の視点に偏る事もなく、「動物と人間の関係性」や「自然と文明の在り方」をシビアに捉えた非常に硬派な作品。
この最終巻でも、そのテーマは一貫しており、作品全体の質は高い。
ただ、そうした「人間と動物の共存」、「動物園の存在意義」、「文明と自然の在り方」というテーマは良くも悪くも重々しく、全体として見ると、漫画としての娯楽性には欠けていたのが残念。非常に真摯な姿勢で問われるテーマは、ともすれば説教臭く感じる事もあり、単行本で続けて読んでいると正直疲れてしまう。
今巻も「種の保存と動物園の存在意義」というテーマで一貫しているのだが、漫画を読んでいるというより、動物の生態学や社会学についての問題を突きつけられている感じで、遊び心や娯楽要素がほとんど無いため、何度も読もうという気にはならないのが難点か。
また、「動物園の理想像の提唱」という最終話のエピソードはラストとしては相応しい壮大なテーマではあるものの、文字通り理想論すぎて、最後にして少し現実離れしてしまった感がある。
せっかく個性的な良いキャラが揃っているのだから、たまには思い切って重たいテーマから離れて、各キャラの日常を面白おかしく描くとか(熊田園長に至っては最後まで謎めいた過去やプライベートが描かれる事がなかったので、「園長の後を尾行する」とかいう回があっても面白かったのにと思う)、もう少し漫画としての「余裕」や「メリハリ」が欲しかった。
ZOOKEEPER(2) (イブニングKC)
主人公を含めた飼育員と動物との関わりを軸に、広く動物と人間の関係性・人間社会そのものについて考えさせる。それでいて、そういう小難しい事なんて一切抜きでも、面白いという辺りは相変わらず素晴らしい。
今回も安易なハッピーエンド・バッドエンドで終わらせずに、読者に判断を任せた様な、と言うより現実的な話が続く。
ちょっと園長が前に出てくる感じは減ったかなとも思ったが、相変わらず要所要所で出てきて、重い(そして現実的な)一言を吐いていく。面白い。
最後に、一巻の反響に対する青木さんの随想みたいなものが書いてあって、作者の人柄が想像と少しずれていて面白かった。
イブニングで読んでいても買っておくべき作品だと思います。通して読むとやっぱり違うし。