お笑い百貨事典 9 昭和45年~53年 テレビが育てた芸人
人生いろんな出来事がある。まさに世の折り返し地点が今の時ではないでしょうか。でも変わらないものがあります。人・感情・心を持っている事‥特に笑いは人間の心をいやしてくれますし、活力を与えます。こういう時代だからこそ笑いが欲しいのです。嫌な事件の多い報道より笑いの一こまが欲しい時ではないでしょうか。
テレビの黄金時代 (文春文庫)
1962年から1972年までをテレビの黄金時代と捉え、当時の”ヴァラエティ”番組を製作し続けた放送作家やプロデューサー、タレント達を描いています。「光子の窓」「夢で逢いましょう」「シャボン玉ホリデー」「九ちゃん」「ゲバゲバ90分」といった番組を知っている方には、懐かしくて、興味深いエピソード集でしょう。青島幸雄、前田武彦、井上ひさし、永六輔、大橋巨泉やクレイジー・キャッツ、坂本九、コント55号、ドリフターズ達とのエピソードが豊富で、時代の体温が伝わってきます。TV界創世記に活躍していたナベプロの渡辺社長、日本TV井原プロデューサー、ホリプロ、堀社長などジャズ出身者が多く当時の番組や音楽は、モダンであったのもそのせいかな、と考えてしまいました。TV関係の仕事をしている方々、TVを楽しんできた人たちにはお勧めです。著者による現在のTV番組評もいいです。TV黄金時代の終焉は、浅間山荘事件。ニュース性がTVの持つエンターテイメント性を凌駕したことによると考えています。
コント55号のなんでそうなるの? DVD-BOX
コント55号の集大成的番組だった。年末に紅白の裏番組として生中継されていたこともあったと思う。確か「山彦屋」・「取調べ」・「個展」等のネタがあった。腹がよじれるほど笑った事を覚えている。当時は家庭用VTRがなく、カセットテープに録音していた。今やそのテープも無く、記憶も薄れてきたので、DVD化を待ち望んでいた。どの位待っていたかと言うと、文章では表現しきれない程待っていた。舞台狭しと動き回る欽ちゃんと二郎さんの勇姿を再び見られるかと思うと発売が待ち遠しい。どんなネタが収録されているか分からないが、とにかく星5つ!
TBS・フジテレビ・テレビ朝日合同企画 祝!結成40周年記念 コント55号 傑作コント集 永久保存版 [DVD]
40周年記念として各局の垣根を越えて発売されたこのDVDでありますが、コント55号の晩年の作品群の中でも今一つのネタチョイスばかりなのがヒジョ−に残念でなりません。(赤忍者だけは感激したけど)『8時だよ!全員集合』の時もそうでしたが、発売元は2匹目、3匹目のどじょうを狙っているのか、記念すべきファーストリリースのネタチョイスが完全に甘いのでありますよ。コント55号が死ぬほど面白かったのは昭和40年代半ばまで。TVでは『お昼のゴールデンショー』や『世界は笑う』のころ。また大正テレビ寄席に準レギュラーで出演していたころが一番面白かったんですよね。だからこの当時の映像が無いと言うのは本当に悲しいのです。お笑いの歴史における空白の期間、コント55号は疾風のように現れて疾風のように去って行ったんだなー。ですからこのDVDだけでは本当のコント55号を知ることはできません。あくまでもこれをきっかけとして、笑いの空白を少しずつ埋めて行くのが、ぼくらお笑いフリークの使命なのではないでしょうか。コント55号の再評価はこれからもまだまだ続くのです。
いくよ、二郎さん はいな、欽ちゃん―小説・コント55号
コント55号の全盛期を知る人にとっては、何とも魅力的な本だと思います。天才肌をもって謡われた欽ちゃんこと萩本欽一さんは、想像以上の下積みを経験されていました。小劇場からTVへ雪崩を打って演芸人が進出してゆく中で、TVの方法論によらず、逆に自分たちの笑いでTVそのものの笑いを変えてゆく様が、重苦しい葛藤とともに描かれています。ナイーブな笑いの革命者、反逆者と言えます。コント55号の演出は欽ちゃんに支えられていたのは確かですが、欽ちゃんのアドリブに強烈に対抗できる人が二郎さんだったということも良く分かります。やはり不世出のコンビですね。コント55号の笑いは、この二人だけのもので、ジャンルに括られない凄さがあります。この本は、二人の出会いの頃から、売れっ子になるまでの時代が描かれていて、笑いの原点が偲ばれます。二人の伝記に近いでしょうか。コントの凄さについては今ひとつ十分とは思えませんでしたが、こればかりは実物を見ないと無理でしょうか。ちょっと後半端折っている感じもしますが、55号のファンの方には十分お勧めできます。