タクシードライバー コレクターズ・エディション [DVD]
「ドアをノックするのは誰?」「ミーン・ストリート」などとともにニューヨークを舞台にした作品、その中でも本作は傑出している。
ロバート・テ・ニーロがタクシー・ドライバーを生業とするヴェトナム戦争帰りの青年、トラヴィスを鮮やかに演じ、シビル・シェパード、ハーヴェイ・カイテルら芸達者たちが脇を固め、ジョディー・フォスターが少女の娼婦役で出演した万全の配役。
冒頭に流れるバーナード・ハーマンのテーマ音楽、緊迫したイントロに続く退廃的なバラードにニューヨークの下町ムードがギラギラと横溢する。
ニューヨーカー、スコセッシの本領がいかんなく発揮された佳作だ。
ストーリー展開も巧みだ。トラヴィスが都会の混沌や猥雑の中で人間関係を求めつつも孤立していく過程を、ポスト・ヴェトナムの傷跡も匂わせながら緊張を孕んだ映像で追い、盛り上げて行く。
そして、、、。
彼の行動は本当に少女を救出するためだったのだろうか。
虚ろな心は居場所を見出せたのだろうか。
とっておき京都―NO.1ハイヤードライバーがこっそり教えます (祥伝社黄金文庫)
ベテランハイヤードライバーによる、京都観光客向けの本です。
やさしい語り口で、控えめに、ベテランらしい目線で京都の魅力が書かれていて、読んでいるだけでも穏やかな気持ちになり、京都行きを楽しみにする気持ちがふくらみます。情報は必ずしも新しい訳ではありませんが、移り変わりのゆるやかな京都ですから、補足的に少し他のガイドブックやネットなどで調べれば、十分に対応できる内容です。
京都へ行く前に、ぜひどうぞ。
夜会 VOL.3 KAN(邯鄲)TAN [DVD]
89年にスタートした『夜会』にこの時からサブタイトルが付くようになった。
当初のキャッチ・コピーは“みゆきの言葉に手が届く”だった。今まで毎回のタイトルを観る幸運に恵まれた中でもこの年の『夜会』は私にとって特別な意味を持っている。そのことを含めて、少しばかり話をさせていただければ、と思う。
91年10月、職場で倒れた私が気がついたのは病院のベッドの上だった。ドクターが告げた病名は“聴神経腫瘍に伴う右突発性難聴”だった。幸いにも腫瘍を除去することはできたものの右耳で聴く音は失われた。けれど音を失ったことで言葉を聴くことができるようになった。『言葉』は単に信号としての音を指すだけの機能を持つ存在ではない。“語る言葉”は文字となり、“仕草が示す言葉”は醸し出すイメージ、となって相手に思いを伝えてくる。
“人生は一時の夢にすぎない”と語る“邯鄲の夢枕”の故事と『不思議の国のアリス』をベースにして中島みゆきが綴った物語は『I LOVE HIM』で幕を閉じる。“たとえ黄金の国を手に入れても 愛されることがなければつらい”“与えられる愛を待つだけならば もらいそこねても悪くてもゼロ マイナスはない”との言葉は確かに私に届いた、語りかけるようにそして重い剛速球のように。それまでステージの流れに目を奪われがちだった私にこの時の『夜会』は掛け替えのないクリスマス・プレゼントを贈ってくれたことは確かだった。歌詞や台詞とステージ上のパフォーミングは別々の存在ではなく、歌詞や台詞を聴くことが同時にステージを観ることと密接にリンクする。まさに“言葉が輝く”ことを知った瞬間だった。
終幕、ベンチで眠る主人公の上に雪が降りかかっていたが、シアターコクーンを出るとそこには本物の雪が降り始めていた。
レイト・フォー・ザ・スカイ
フォーエヴァーグリーン。
ジャクソンブラウンで2枚となるとこの[Late for the Sky]がうち1枚。
どこか弱さげで、それでいてきっちり歌いかけている姿に共感できます。
完成度の高いアルバム全体ですが、やはりタイトル曲が秀逸。
デービッドリンドレーのしなるギターとマッチしたジャクソンブラウンの
声が心に沁みる一曲。
「タクシー・ドライバー」オリジナル・サウンドトラック
私が名画座等、映画館で観た回数が1番多い映画はタクシー・ドライバーだ。LPのサントラ盤も持っているし、映画のDVDも持っているが、ジャズのムードを漂わせるサントラ盤をCDで手元に置いておきたくて本作を求めた。
この2008年盤、20ビット・デジタル・マスタリング・フロム・ジ・オリジナル・マスター・テープ:1998と表記されているから、98年版CDと同じ音質なのだろう。
ヒッチコック作品で有名なバーナード・ハーマンの遺作だが、彼が指揮したビッグ・バンドの演奏を聴くと、NYの夜を不眠症のトラヴィスがさまよい、妄想にとりつかれる様子がありありと目に浮かぶ。NYの夜の危険な美しさも。そしてトラヴィスの心を捉えたベッツィーの姿も。
ことに甘いサックスの音色が印象的なメイン・テーマは1級のジャズで、70年代映画音楽の傑作中の傑作と断言できる。
なお、本作のジャケは、有名な"You talking to me"の場面の折り畳み式ポスターの1部分。トラヴィスのモノローグも聴ける。