フィボナッチトレーディング (ウィザードブックシリーズ)
この著者は、「フィボナッチブレイクアウト売買法」(邦題)の著者である Robert C. Miner から手法を学び、それを先物の短期トレード向けにアレンジしてトレードをしているようですので、内容的には「フィボナッチブレイクアウト売買法」とかなり重複しています。
しかしながら、本書では「なぜそのようにするのか」という解説があまり多くなく、著者の手法を簡潔に説明した後は、そのケーススタディとなる具体的なチャートをいくつも示すというパターンで進んでいくので、内容はさほど濃くないと言わざるを得ません。
そういった意味で、個人的には、トレードプロセスが体系的に解説されている点において、「フィボナッチブレイクアウト売買法」の方をお勧めします。その上で、「フィボナッチブレイクアウト売買法」を一通り学んだ後で、そこで身につけた知識を実際のトレードや短期トレードに活用するためのヒントを探す際に本書を読むとよいかもしれません。本書で紹介されている手法の方が、「フィボナッチブレイクアウト売買法」の手法よりも、(類似点は多々ありますが)具体的かつ実戦的だと思いました。
ベスト・クラシック100
ヘンデルに始まりヘンデルに終わる、というだけで、この編集者がイギリス人であることが知れるようなものですが、シューマン、リスト、ブラームス、ワグナー、ブルックナー、ラヴェル、バルトーク、ストラヴィンスキーといった著名な作曲家の作品が1曲も含まれていないことからしても、単なる「有名曲の寄せ集め」ではないことがわかります。それは、ある一定の「気分」に沿って、まるでクラブ系DJの感覚のように、全体の流れや統一感を重視し慎重に選択された見事な選曲だと思います。
つまり、この企画者は、初心者向けとかカタログとかいうことではなく(結果的にそうなることがあったとしても)、基本的には現代の生活におけるクラシック音楽の「新しい楽しみ方」を提案しているということだと思われ、そのことに強く共感します。
したがって収録された楽曲は「クラシックを代表する名曲」というようなものとは明らかに違った基準で選択されていて、その9割以上がオーケストラ曲またはオーケストラ伴奏曲です。器楽曲、小編成の室内楽、ピアノ伴奏曲などはたまにアクセント的に置かれているだけで、たとえばピアノ独奏曲はベートーヴェンとドビュッシーの計2曲しか無く、ショパンもサティもありません。また、全体の3分の1が声楽曲ということも特徴的だと思います。
やや保守的/良識的な解釈の多いEMI音源というも、こうした企画には良かったのかもしれません。1960年代の録音も少なからず含まれますが、演奏と録音が一級品であることに間違いはありません。全体のちょうど4分の1、25曲が楽曲あるいは楽章の一部分を抜粋したトラックですが、それも決して安易なフェイドイン/フェイドアウトではなく、音楽的な見識の確かさを思わせる編集で、原曲を知らなければそれが抜粋であることすらわからないくらい、個人的には不自然さを感じませんでした。
いまだに教養主義的な感覚から聞き手の方で勝手に敷居を高くしているような所もあるクラシック音楽ですが、このコンピレーションの「軽やかな豊かさ」は、もっと自由な新しい楽しみ方を提案しているように思われます。BGMにも良し、カーオーディオで聞くも良し、iPodでシャッフルするも良し。良い時代になったものです。
ラヴェル:ピアノ作品全集
数年前からラヴェルの大ファンになりました。僕が今までに聞いたラヴェルの演奏の中では、もっとも素晴らしいです。もっとも、まだラヴェル歴が少しですから確かなではありませんが、一番「アース」の演奏が素晴らしいように思います。名盤なのも納得です。
選曲も完璧だと思います。僕自身の、ラヴェル・ピアノ曲ランキングNO・4まで全て収録されています。
あなたの一生の曲に、出会えるのではないでしょうか?
ボロディン:歌劇「イーゴリ公」映画版 [DVD]
歌劇『イーゴリ公』の物語に一貫性を持たせ、曲を並べ替え再構成したもので、俳優が演技し、歌手が吹き替えをしています。
古い映画なので、画質・音質(モノラル)共に良いとは言えませんが、歌劇『イーゴリ公』の入門には手頃です。また、物語の最後に史実にはないイーゴリの再出陣があったり、そこに持ってきたプロローグ最後の合唱の編曲など、ゲルギエフ指揮のマリインスキイ新版に通じるものがあります(キーロフ・マリインスキイ劇場の伝統的な『イーゴリ公』の解釈なのかも知れません)。
「ポーロヴェツ人(だったん人)の踊り」の振り付けはフォーキン版。
歌手と役者を分けたことにより、イーゴリの息子ヴラヂーミルとコンチャク汗の娘とのロマンスが若々しく魅力的に見えます。
ボロディン:歌劇《イーゴリ公》 マリインスキー劇場版 [DVD]
「だったん人の踊り」で有名な歌劇『イーゴリ公』の全幕ライヴ映像です。
ゲルギエフ指揮、マリインスキー歌劇場の演奏とバレエで1997年8月に上演されました。
同じくゲルギエフの全曲盤CDとくらべると、 「だったん人の娘たちの踊り」、「だったん人の踊り」の一部をはじめ、 いくつかの場面が短縮、または省略された簡略版ではありますが、 CDの歌詞やト書きからはわからない演技や演出が楽しめます。
マリインスキー劇場の『イーゴリ公』はリムスキー-コルサコフが補遺した初演版ではなく、ファリエクの校訂によって構成と演出を変えた版が使われています。
初演版ではイーゴリ公の帰還をプチーヴリの人々が 歓迎して大団円となりますが、 この新版では、イーゴリの再度の出陣を暗示して終わります。
2008年のマリインスキー歌劇来日公演を先取してお楽しみください!