女王蘭 (祥伝社文庫)
風俗王を目指す立花と、ライバルの藤堂の熱い対立を描いて話題になった
「黒い太陽」の続編的物語。
藤堂に復讐を誓う新人キャバクラ嬢が、美貌と、自分らしい接客で
のし上がっていく様子は、痛快で読み応えがある。しかし、後半、
自分らしさを見失って迷走するパターンが、最近の「夜騎士物語」の
ホストとか「枕女優」の売り出し中の女優などとまるきり一緒なので
ああ、またこうなったか、と思ってしまった。後味が悪いのは、
綺麗事じゃないんだ、ということでいいんだけど、主人公の足元の
すくわれかたがどれも似たりよったりなのはどうなんでしょうか。
帝王星
黒い太陽、女王蘭と続いてきた3部作の完結編。
間違いなく、一番良かったです。
とは言っても、過去の2作を読んでいる事が大前提になりますが。
前作と変わって脇役がしっかり役をこなしてくれます。
思い掛けない展開、そしてある意味予想通りのラスト。
分かってはいたけれども、そのラストにはして欲しくなかったです。
それだけが残念でした。
炎と氷 [DVD]
ご存じの方も多いと思いますが、人気が出る前の上地雄輔さんがホストの役で出演していて、ホストクラブの客(ヤクザの妻)に手を出してしまうという場面で大胆な濡れ場を演じています。今となっては貴重な映像かと思います。上地さん演じるホストは、宇梶剛士さん演じる風俗専門の闇金融業の社長に女性を扱う才能を見込まれ、そこで働くことになるのですが、それをきっかけに「炎と氷2」で、ホストとして女性をもて遊んだツケを払わされる悲惨な運命を辿ることになります。
作品全体としては、Vシネマというのは全般的にもっと何でもありなのかと思っていたのですが、暴力も性描写もそれほど極端なものはなく、どちらかというと淡々とした印象でした。画面全体から、闇社会ならではのうらぶれた暗さが伝わってきます。
無間地獄 上 幻冬舎文庫 し 13-1
闇金融を営む暴力団の若頭である主人公・桐生保の冷酷非情さ、彼の少年時代の家庭環境の凄まじさ、闇金融業者のえげつなさなどが、オブラートにくるむことしない筆致で描かれている。この描写に嫌悪感を覚える人も多いと思うが、私はこれこそがこの著者の魅力であると思う。
ストーリー自体も理不尽さの連続で、世の中には神も仏もないと言うような展開を見せる。上巻を読んだだけでも、金を借りることの恐ろしさが身に染みてくる。多重債務者救援組織が、この作品を推薦図書に指定するのも良いのではないかと思うような内容である。
(下巻のレビューに続く)