証言 日中映画人交流 (集英社新書)
前作「中国10億人の日本映画熱愛史」と対になる本である。
中国人に熱愛された高倉健や栗原小巻らの俳優や、佐藤純弥や山田洋次らの映画監督らが、国交正常化後の中国とどう向き合い、交流してきたかを聞き取ったものである。
日中両国を知っている在日二十余年の著者は、目配りの利いた的確な質問で貴重な証言を引き出している。
中国が改革開放を歩んでいた80年代は、日本との蜜月期だった。
経済関係が深まった今より遥かに人的交流は少なかったが、少数でもお互いに敬意を抱き合う人間たちが交流していた、ある意味で幸せな時期だった。
もう二度とこういう時代は来ないのだろうなと、若干のセンチメンタリズムを抱きつつ読んだ。
日本人として、中国と関わるということはどういうことなのか。
それがあまりにもビジネスライクになっている今、映画という文化産業を通して中国に関わってきた先達の体験や意見は、非常に参考になる。
「政治的状況がどうであろうと、一番守らなくてはならないのは、個人と個人が出会った時から結んだ友情や信頼関係なのです。それを守るだけの勇気があるかどうかという問題なのです」(佐藤純弥)
「政治や経済は、時代や状況によって揺れ動くことがあります。文化の力は揺るぎません。人間が本来持っている、善なるものへの信頼、それが文化であり、文化交流です」(栗原小巻)
「あなた達の先祖がどんなに苦労していたのか、ちゃんと知っているのか」(山田洋次)
こういう含蓄のある言葉を、私は最近聞いたことがなかった。
あなたに褒められたくて (集英社文庫)
とても良いエッセイ集だと思います。
高倉健が語る母のこと、別れた妻である故江利チエミへの思い、海外の友人達との交流など、心洗われるようなエピソードが、まっすぐで驕ることのない、平らで青年のような純粋な言葉で綴られています。
特に、元プロ野球選手、村田兆冶投手の試合のTV中継を、たまたま散髪に出かけた理髪店で観て感激し、花束を贈り届けたエピソードは、とてもすがすがしい気持ちになりました。
また、長野の善光寺参りを毎年かかさない理由や、中国のファンからのプレゼントの逸話にも心が動かされると思います。
高倉健にとっての「あなたに褒められたくて」の「あなた」は、いったい誰なのか。読み進んでいくうちに、その謎も解け、その時にもまた胸が熱くなりました。
さわやかな感動を受ける本です。
ブラック・レイン デジタル・リマスター版 ジャパン・スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
言わずと知れた、ハリウッドに進出した彼の傑作にして残念ながら遺作。彼はこの映画の撮影中、日本のかかりつけの医師に「男が一生に何度も出会えないような仕事だから、絶対やり遂げたい」と語ったほどの意気込みだった。文字通り"命を削って"魂をフィルムに焼き付けたのである。
物語の前半で彼はイタリアンレストランに颯爽と現れる。刃のように洗練された動き。そしてまるで観客がその場に居合わせたかのように、見ている者の動きを凍りつかせてしまう凄み。優作が今まで蓄積してきた全てをこのために使い果たそうとしているかのようだ。このシーンで彼が演じる佐藤は、偽札の原盤を奪い取るだけでよかった筈だった。しかし日本人ヤクザの一人が言う。「相変わらずヒヨッコだな・・・」 部下に原盤を渡した後、思い出したかのように彼は振り返る。「あぁ?」 ・・・そして目にも止まらぬはやわざでナイフを抜き、ヤクザを血祭りにあげる。僕はここが無茶苦茶に好きだ。ほんっとに怖い。そう思わせるのが彼の演技力ということか。ア・ホーマンスでポール牧に求めたものはこれだったのだろう。
この優作が演じた"佐藤"の役は、リドリースコット監督とマイケルダグラスがオーディションで選ぶことになっていた。誰もが憧れるハリウッド映画に出演できるということで、日本人の有名俳優もこぞってこのオーディションを受けたそうだ。(もっとも落ちたときに名前に傷がつくということで敬遠する人もいたらしいが。)その中に、優作がデビュー前からその存在を意識していた萩原健一もいた。結果的に優作が選ばれると、子分の役しか残らなかったためにショーケンは降りた。優作は彼に勝った喜びを隠さなかったと彼の前妻は語っている。そのオーディションで、ホテルの一室で優作はマイケルダグラスを相手取り、一歩も引かない入魂の演技を見せている。(既に目が佐藤になっている!)
主役の筈の健さんも完全に優作に喰われていた。ハリウッドの映画製作者は、彗星のごとく現れたこの悪役に、たまらずラブコールを送ったという。全く惜しいことをしたもんだ。優作が心酔する俳優ロバート・デ・ニーロとの共演の話もあったというのに・・・。
私はこの映画を映画館で2回みた。一回目はまだ彼が存命中に。「やった!これで優作を世界が見てくれる!」そう思っていたのに。二回目は訃報を聞いた後に。ラストの格闘シーンでは涙が流れた。自分の命を縮めることを知っていながら、この男は必死で戦っている・・・。
しかし、やっぱり映画俳優は素晴らしいですね。仕事の結果が永遠に語り継がれてゆくのだから。いまや渡辺謙をはじめ日本人アクターが海外で認められ始めています。三船さんは黒澤作品に乗ったということもあるでしょうし、本当の意味で日本人アクターがハリウッドに殴りこんだのは、この作品の優作と健さんが初めてだったんじゃないでしょうか。
刑事物語 [DVD]
うだつの上がらない三流刑事の片山元。
正義感は人一倍。
日用品を武器にすれば天下無敵の
秘門派蟷螂拳の使い手。
中学生だったあの頃
大好きで何度もビデオを借りたっけ。
カンフーアクションのご本家
ジャッキー・チェンも、そのアイディアを
逆輸入し、映画の中で
とある日用品を武器として採用した。
どの映画かはご自分でお探し下さい。
脚本家としてクレジットされている
片山蒼とは武田鉄矢のペンネーム。
パート4を除き、武田鉄矢自身が脚本を手がけている。
僕の青春のシリーズ。
最も好きなのはパート2ですね。
DVD化は本当に嬉しいなぁ。
残り4作品のDVD化も望む。
多分そうなるかな?
歴代武器一覧
パート1:ハンガー
パート2(りんごの詩):ハンガー
パート3(潮騒の詩):フラフープ
パート4(くろしおの詩):ゴルフクラブ
パート5(やまびこの詩):テニスラケット、三節根ハンガー