謎の彼女X(1) (アフタヌーンKC)
といってしまうと、謎の彼女X、という作品が一言で終わってしまうかもしれません。
「謎の彼女X」と、「ディスコミ」で書いてある本質はまるっきり同じだからです。
ですがそれは私にとって悪いことではなく、むしろ歓迎すべきことでした。
はっきりとは説明できない、なんだかわからないけれど
なにか心のどこかに引っかかる、懐かしい、寂しい、暖かい、悲しい、
思い出の片隅にある場面を一つ一つ切り抜いた作風です。
それはこの作品でも変わっていません。
この作者さんは「ディスコミュニケーション」の頃から好きでした。
正確にいえば、ディスコミの8巻(序章〜冥界編)までがとても好きでした。
謎の彼女、のほうは学園編に近いですが、この先ひょっとしたら冥界編のような
展開もあるのかも?
このレビューでは、どうしても両作品の比較になってしまうのをお許しください。
主人公が不思議な子に振り回される構図はディスコミと同じなのだけれど、
与えられた性別がそれぞれ逆転しています。
たぶん、こちらの方がしっくり来る人は多いのでしょう。
(私は戸川さんと松笛くんも好きでしたが)椿くんはちょっと普通すぎるけど、
卜部さんは戸川さんよりかわいいのがポイントが高い(笑)
重要なのは、「ディスコミ」の時よりも、作者の植芝さんが年を重ね大人になられた、
ということです。
不遜な言い方ですが、昔の植芝先生はセンスだけで書いていた面がありました。
自分の中の書きたいものをそのままぶつけて、どう受け取るかは
読者に任せてしまおう、と。
プロになって何年も経ち、キャリアを重ねたことで、「謎の彼女X」では
自分の書きたいことを書きながら、読者に伝えたいことを伝える姿勢が感じられます。
わからないものをわからないままで書くのではなくて、「わからない」ということを
年を取ることで「わかった」作者が、それをうまく漫画という形にして
書いている気がします。
こんな受け取り方をするのも、読者である私自身が歳を取り、この漫画を読むことで
ディスコミとともに過ぎ去った青春時代をいつの間にか振り返っているからかも
しれません。
ですが、だからこそ思います。
またこの人のこういう作品が読めて、良かったな、と。
明らかに一般的ではないラブコメですが、一風変わった作品や不思議な作品が好きな人に
おすすめです。
王道の展開は無きに等しいのですが、でも、ちゃんとラブコメしています(笑)
卜部さんの目つきがどんどん悪くなっているのがちと残念な点、
顔のバランスは第0話が一番だったような・・・。
謎の彼女X(6) (アフタヌーンKC)
卜部とアイドルが入れ替わるというネタが
1冊丸ごと37〜44話まで入って更に次の刊に続くという本刊
卜部が蹴られ着替えさせられステージに立たされ歌わされ踊らされと
終始強引に引っ掻き回され続ける
卜部とアイドルが全く違う視点に立つ事で改めてお互いに意外な
自分という物に気付いたり再確認するという面白さはありますが
内面を晒して掘り下げるほどに底が知れて謎、神秘性から遠ざかり残念な気分も積もってきます
主人公視点から見て卜部って意外とこうなのかな?という感じで〆て終ってなんとか謎を保っていたように思います
よだれ抜きで照れる怒ると感情を出すようになってきたのも
変化、成長しているのかもしれませんが
これも単純に没個性化していると感じてしまう部分もありました
謎の彼女X(7) (アフタヌーンKC)
12回続いたアイドル編が終わりました
この数日間の二人の入れ替わりに終始混乱し続けた椿くん
椿くん視点からだけ見たらさぞ謎だった事でしょう
椿くんからみたら謎の子卜部 卜部視点から見ると変な子だけど案外普通な卜部
ライブの舞台上からよだれを舐めさせる仕草で決めポーズする卜部
反応して鼻血を吹き出す椿くん やはりこの二人は凄いな パブロフの犬かと思ったのですが
まだ会ってもいない男にTV画面越しに鼻血を出させたアイドルの百夏…
それはそれで面白いのですが、卜部と椿くんの関係が特別凄い訳でもないのかと思うと残念なような
ネコミミとベーコンの話 誤って椿くんを傷つけた時は慌てふためいていましたが
いたずらのおしおきというのもあるのでしょうが
わざと皮膚を切るのは卜部的に問題ないみたいです