天国の駅 [DVD]
堕ちた天女のような吉永と、純愛を捧げ尽くすカジモドを思わせるような西田敏行。偽りの善意と二面性を演じつくす津川雅彦。凄い演技合戦です。上手いだけじゃなく、お金を払っても見たい存在感を持った「役者」たち。
吉永と日本の四季の美しさの融合が、あまりにも不幸な女の物語を少しだけ御伽噺のように見せてくれます。見る人の気持ちを代弁するようなラストの丹波哲郎の一言が、救いの無い物語の後味を和らげてくれますが、哀れすぎて辛すぎて私は何回も見る気にはなれません。とは言え、優れた映画作品と思います。シェイクスピア悲劇が好きな方は必見。
夢千代日記 [DVD]
やっぱり新・夢千代日記のほうが良いと言うか完成度は最高で新・夢千代日記だけで泣きすぎて充分です。
余部の鉄橋を過ぎて浜坂駅で下車し名物蟹寿司(米田茶店,今はコンビになっています、要注文)を買ってからバスで40分の旧温泉町。皆さんはご存知無いと思いますがこの作品の舞台は北近畿(兵庫)から鳥取(因幡)にかけてのある意味「知られぬ日本の面影」とも言える限られた地域でこの作品で初めて兵庫県が日本海に面している事を発見された方は多いのだと思いますが話されている言葉は神戸あたりの言葉とは全く違い限りなく鳥取弁に近い北近畿弁です。夢千代が何回も言う「山陰の空は鉛色」という言葉は私には重すぎます。 夢千代の母親の親友である渡辺玉子(鈴木光枝)が淡々と語る「ピカドン(広島の原爆)」に絡む「広島菜」の逸話は真実で全夢千代シーンの中で一番心をブチ抜かれました。 このシーンを観て涙が出ない人は皆無だと思います。何回も何回も夢千代達芸者が歌って踊る「貝殻節」は古くから鳥取県の旧青谷町、旧泊村,浜村町あたりで歌われている悲しい悲しい歌です。墓に一緒に入れてもらうのだったらという意味では夢千代日記は酷で耐えられません。でも人生で最後に観たいのは夢千代日記と砂の器だけです。
泣くのは嫌だけど。
華日記―昭和生け花戦国史 (小学館文庫)
生け花を習っているときに、流派って何だろう?どう違うのか?という
疑問がわいてきて、その時に出会ったのがこの本です。
各流派の起源やいさかいなどを含めた関係、方向性、そして存続していく
利益づくりの試行錯誤などがわかります。
歴史の本ですが、花を中心とした人間ドラマですので、退屈しません。
戦後の焼け野原の中、食べるものもろくにない中で花を集め生けていく
流派の創始者たちの熱意には心打たれます。
西洋のフラワーアレンジメントを含め、日本において花に関わろうと
いう人には、読んでおいて損のない一冊です。
吉永小百合
吉永さんは頭もいいけど案外多才な人でピアノも弾く。私そのLP持ってました。サユリストでもないのに何で高いLPを買ったのか記憶にない。歌はもちろんだがベートーベンの「月光」だったかな?あまり昔のことで憶えてない。ピアノが収録されていたのは事実。お嬢様ですからピアノは幼少の頃から習っていたのでしょう。歌は「いつでも夢を」がヒット。いま聞いてもいい。吉永さんは失礼だがそれほどうまくはない。女優さんの余技。ちあきなおみの「四つのお願い」を歌ったAさんと甲乙つけがたい。Aさんもお嬢様だからピアノくらい習っただろうが全国屈指の進学校だから止めたかも。Mさんの応接間にヤマハのグランド・ピアノがあり「なんか弾いてよ」といったら「猫ふんじゃった」を弾いてくれた。ふたりとも進学校(吉永さんは一時駒場付属に在籍)だから「特技」はない。1968年は毎日のように4年の吉永さんをキャンパスでお見かけしたがエピソードはない。普通の女子大生。その後高瀬春奈が一文演劇科に入学したが見たことない。もう女優さんは腐るほどいる学部だから。早稲田は最近ダメだな。慶応に負けてる。ほんとのバカダ大学になった。吉永さんも情けないだろう。
千年の恋 ひかる源氏物語 [DVD]
紫式部の人生と源氏物語をオーバーラップさせるという試みは評価できると思う。しかし、そのために紫式部の心情についても源氏の登場人物の心情についても充分に表現しきれていず、どちらもが中途半端になってしまっている点が残念。キャスティングについては全く個人の意見となるが、源氏-天海,藤壺-高島,頭の中将-風間などはかなり満足。紫の上-常盤については、もう少し和装の似合う女優を、と感じてしまう。また、他の方々が述べておられるように、松田聖子の唐突で不自然な歌はこの作品にとってかなり痛いものとなっており、脚本家や監督の意図が全く理解できない。