ボン・ボン・フレンチ
私はシャンソンの歌詞を覚えながらフランス語の勉強をしていますが、このCDはバラエティに富んだ選曲で勉強に最適の一枚です。ただ唯一の欠点は、日本人歌手Kの歌が入っていることです。12曲目、Kの日本語なまり丸出しの下手な発音を聞くとゲッソリします。シャンソンのアルバムなのですからフランス人歌手の美しいフランス語を聞きたいです。
ゲンスブールと女たち(Blu-ray Disc)
現実と幻想をシンクロさせながら、本人たちと見間違う様なドキュメントな感覚で、稀代の愛の狩人であり、不敵で不遜なカリスマであったアーティストに迫った今作は、酸いも甘いも経験した中年男には、その色気と頽廃にあてられた男心をくすぐる映画だった。
ユダヤ人として人種差別を受け、ナチ統治下には辛苦の日々を送り、醜男とのコンプレックスを持ちながら、歌手、作詞作曲家、映画監督、俳優、作家、詩人、画家として類稀な才能を発揮し、次々と高名な美女たちを夢中にさせる。
現代のカサノヴァの如きその華麗なる女性遍歴。ゲンスブールが、そのスキャンダラスな部分も含めて、時代の寵児となっていった背景としての、60年代から70年代にかけての絢爛と変革の最先端だったパリのモードは映画を観ただけではよく分からないし、今作だけで、彼のそのカリスマ的魅力を十分理解する事は難しい。
でも、破滅的な愛の深淵は窺え知れるし、彼が時折見せる苦悩や屈折感、トラウマには人間味が溢れている。
監督は、フランス・コミック界の鬼才らしいが、彼もまたユダヤ人、そして、ゲンスブールの心酔者。破天荒な異端児が持つ大胆にて繊細な感受性鋭い詩人としての一面にスポットをあてており、決して煽情的なゴシップ劇とはしていない。
ジェーン・バーキンとのセックスをライヴ感覚で吹き込んだと物議を醸した「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」の成り立ちについても、飽くまでもあっさりとしか描かれていない。
その一方で、もうひとりの主人公をダークサイドにカリカチュア化した存在として登場させ、絶えず自問自答、心の奥底に迫ったり、劇中の名曲たちを敢えて俳優たちに歌わせたりとの拘りが感じられる。
それに、やっぱり、主演のエリック・エルモスニーノが上手い。よく見比べてみると、そこまで似てないのだが、映画の中では、本当にゲンスブール自身と思えるようなハマり役。ジャケ写真にも使われているブリジッド・バルドーとの官能の情事なんか、いかにもと思わせるのだ。
今作を観れば、セルジュ・ゲンスブールに対して興味を抱く方は多いと思う。探求の為の入門編としてもお薦め。
60’s STYLE BOOK
表紙デザインに惹かれて購入しましたが、
どちらかと云えば、映画好きな人にお勧めだと感じました。
ただ、以前から気になっていたツイッギーのことがこの書籍で分かったので、スッキリしました。
ゲンスブールを歌う女たち
百花繚乱という言葉が似合うオムニバスアルバムです。歌っているのはカトリーヌ・ドヌーブやブリジットバルドーなどの有名な女優、歌手達です。公私共にパートナーと言われたジェーン・バーキンの「無造作紳士」は少し前にドラマのテーマ曲として扱われ有名になりましたし、フランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」は以前戸川純さんが斬新なアレンジでカバーしていました。フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」についてなどは、古くからアイドルのカバー曲の定番であり、CMにも使われていて説明すら必要ないでしょう。
コケティッシュで、文字通り匂いたつような魅力のあるアルバムです。