農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)
弥生時代というのは、縄文人に代わって「渡来人」が西日本を中心に新たな文化を築いたというふうに考えられてきたようだ。しかし、最新のさまざまな発掘等の結果から、決してそういうものではなく、縄文時代の影響を濃く残しつつ、徐々に変化があったと観るという考え方で一貫して書かれている。
だから、あれもこれもといういろんな学説の紹介がなされていて、明解な正解がないのがいい。
もっとも邪馬台国畿内説は譲っていないようだが・・・・・。
著者は古墳が出てくる時代が、弥生時代終焉の時と考えているようだが、何しろ紀元1世紀の頃、確かな人名が全く出てこない時代なので、どうしようもない。ローマではすでにきちんとした社会が築かれてきているという時代にだ。今のイギリス、フランスも当時は野蛮人が裸同様の恰好で、森の中を走り回っていた時代だけど。
しかし、これから以降の日本の歴史の進行速度は極めて早いといっていいだろう。いずれにしろ、日本史は次巻以降だ。
紀元前1万年 [DVD]
皆さんの評判は極めて低い。個人的には面白いのですが、その原因を考えて見れば、紀元前1万年とは思えない(到底、いや絶対思えない)シチュエーションでもう何でもあり宇宙船が出てきても驚かないです。もうスターゲイトが出てきてもOKです。それと何というかストーリーが現代的なのが違和感がある。うまく表現できませんが紀元前1万年にこんな考え方するのかな?と思うことがよくあった。時空を超えた大活劇と考えた方が正解です。エメリッヒはピラミッド好きですね。もっと突っ込んだら、マンモスの狩人が上半身裸やし、毛むくじゃらのマンモスが炎天下の砂漠にいるし生態系めちゃくちゃ。それに初めから英語喋る原始人っておりまっか??
紀元前1万年 [Blu-ray]
劇場に入ったタイミングが悪かったため、目当ての作品の上映までの時間つぶしに観て以来、よもや地上波で放映される日が来るとは思ってもいませんでした。
たぶんグラハム・ハンコックの「神々の指紋」を読んで、「1万2000年前ってどんな時代だっけ?」と調べているうちに「おおおお、マンモスいたんぢゃん!」と気づいて、とっても素直につくったんだと思います。次作が「2012」だし(観てないけど)。きっと日本から『ムー』を取り寄せて読んでますよね。この人は。
「世界ふしぎ発見」の再現映像と比較して、評価するのが正しいのではないでしょうか?
照葉樹林文化―日本文化の深層 (中公新書 (201))
5人の先生方のシンポジウムの記録を上山先生が整理して本にしたもの。対談形式なので読みやすいしわかりやすい。
第一章は「照葉樹林とは何か」ということで、世界の気候区分について。第二章は「照葉樹林帯の農耕文化」で、日本だけではなく世界の照葉樹林帯の農耕形式の発展段階、そしてそれぞれの食用植物・動物の利用実態について。第三章が「照葉樹林と縄文文化」ということで、日本の縄文時代と照葉樹林について語られている。第四章が「照葉樹林帯の固有信仰」。これはまた世界に目を広げてそれぞれの民族の「神」について短く語られている。
どの話も実際にその場を訪れて研究がなされた内容だけに、非常に興味深く読めた。
続編として「照葉樹林文化 続―東アジア文化の源流 (2) (中公新書 438)」がある。
縄文聖地巡礼
5年前の「アースダイバー」を読んで以降、「願わくは「アースダイバー全国版」も是非書いてもらいたい
ものだ。」と思っていたのだが、その全国版ともいえる本がついに出た。しかも、坂本龍一との対談という
形式で、諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、鹿児島、そして青森へと全国の縄文遺跡(聖地)を巡る旅だ。
個人的にも、経済発展最優先でなりふり構わずやってきたツケで首が回らなくなっているこの日本という国は
、そろそろ我々のルーツである「縄文」の意識や思想に立ち返って方向修正すべき時期なのだと思う。
今このタイミングを逃がせば、もうあと戻りは出来ない最後のデッドエンドにまできてしまったのだから・・・
そして縄文聖地を巡る旅は、奇しくも敦賀や青森の原発や使用済み核燃料再処理工場と向き合う旅でもある。
20世紀の物質文明が生み出した「前世紀の遺物」と「縄文の聖地」が表裏一体となっている現実。
現代社会が物質的豊かさを追い求めてきた究極のどん詰まりが、これらの巨大な核施設の群れである。
目先の豊かさを享受したいがために、巨大な負債を数千年後の子孫にまで残す事を選んだ日本の現実がここ
に集約されているのだ。
今から数千年後に、未来人がこの地を発掘調査したとしたら、かつて日本と呼ばれた放射能汚染地域で、自然
と共生するサスティナブルな文化を1万年以上も継続した縄文人の子孫が、何故自らの手で原発を乱立させ
て自滅への道を突き進んだのか? という大いなる謎に直面する事になるのだろう。
PS.
この本のブックデザインは、縄文の思想を表現するため全体に手触りの柔らかい紙を使用した・・とのことだが
、確かに飾っておくにはいいかもしれないが、実際に読むとなると結構気を使う本である。
読むために持ち歩いたり図書館の蔵書だったりしたら、すぐにボロボロになってしまうだろう。
本は読まれてナンボなんだから、デザインだけでなくもう少し読み手のことも考えて作ってもらいたいも
のだ。