ツール・デ・フランドル 2009 [DVD]
春のクラシックとして並び称される石畳レースのパリ・ルーベとツール・ド・フランドルは、歴史が長いためなのかなぜかルーベのほうが人気があるというかメディアの関心があるようだが、筆者は断然フランドルのほうが面白いとおもう。なぜか?単純に激坂がプラスされるからだ。フランスはパリとルーベの名誉のために記すがけっしてパリ・ルーベがつまらないというわけではない。ルーベではベルギーと国境が接していることもあり熱狂的なファンも多いが、やはりフランドルの狂信的なファンには敵わない。09年はベルギー出身のデボルデルが二連勝したことでその狂的さは筆舌につくしがたい(大袈裟か)。
フランデレンの獅子の旗が舞うミュールと呼ばれる石畳の激坂を、「宇都宮ブリッツェン」現監督の栗村修の名解説でお楽しみください。
やっと叶った日本語解説で観られるフランドルDVD。2010年度も待ち遠しい。
ツール・デ・フランドル 2010 [DVD]
あまりのカンツェラーラの凄さになぜか笑いが止まりませんでした。
2011年を見て、購入を決めました。もちろん、口コミや評判も知っていましたが、買ってよかったです。迷ってる人がいれば、買うべきですよ。DISC2は、ここ数週間、仕事が終わった後の癒しになってます。
ブリュージュ―フランドルの輝ける宝石 (中公新書)
おそらく普通の旅行者が、これを持ってブリュージュに出かけたとしたら、周りの風景の全体像をトータルに受け止める前に、足が一歩も前に進まず、大学の教養課程の授業を受けているようで、頭が痛くなってしまうのではないでしょうか。巻末のお勧めをくくっているうちに、割り当てられた一日が、あっという間に過ぎてしまうのかもしれません。といってもいいほど、ドライな本です。この作品は、むしろ中世のこの場所に生み出された都市の生誕についてのミニ百科事典のようなものです。数回この街を訪れたことのある私は、まるで大学の紀要誌を読んでいるかのような印象を受けたほどです。巻末にも、専門書としか思えないような、外国語(英仏)の参考文献が満載です。確かに、政治と歴史、地理と地勢、都市の誕生、国際都市としての人の混在、生活、芸術(音楽や絵画)、どれについても相当の知識が詰め込まれています。そして、注意深く読んでいくと、その背後には、それらを整理する著者の独特の視点(都市、中世、欧州についての)が伺われます。ところが、悲しいことに、面白くないのです。ページがまったく前に進まないのです。どうしてなのでしょう?街自体はあれほど観光客がおとづれるわかりやすい場所なのに?これは、相性の問題なのでしょうか?ところで著者は、同じ中公新書のあの”ステファン・ツヴァイグ”の著者のご子息なんですね(あとがき)。確かに、この2冊の間には共通するものがあります。
フランドルへの道
ノーベル文学賞受賞作者クロード・シモンは本書の出版にさいし、《ル・モンド》紙におけるインタビューでこの作品について次のように述べている。
「すべては同じ舞台に登場し、対話、感動、視覚が共存する」
注意しなければばらないのは、この作品における共存は自然のものでは決してなく、抑制され得ぬ記憶の氾濫にもかかわらず精密に、そう、まるでフーガのようにオーケストラナイズされているということだ。凡百のエクリチュールの垂れ流し的作品と本書は、その点で明らかに一線を画する。その内在的ヴィジョンと外界とが混濁してゆくさまは、ときに読者に眩暈を起こさせることもあるだろう。
はっきり言ってこの作品は難解である。従来の「小説」とされるものを期待して本書を手にとる者は、おそらく10ページも読み進まぬうちに諦めてしまうに相違ない。しかしながら、一切の「既成の小説」の観念を捨て去ってこのテクストと対峙したとき、そこに拓けるのは実に豊穣な小説世界である。
本書がヌーヴォー・ロマン(新しい小説)の代表作と言われる所以を、どうかその眼で確かめていただきたい。