どこかで聴いたクラシック ピアノ・ベスト101
「どこかで聴いた」シリーズのピアノ版であるが、
曲をひとつずつ見てみると、確かに有名な曲が、
たくさん「これでもか」っていう感じで並び、
そして、どれも演奏自体が悪いものではないのに、
「6枚入ってこの価格」って、ほんとに今の世の中は、
いい時代になったと思う。
この手のシリーズは、たくさんのCDが発売されているが、
このCDは、個人的にも好きだし、お勧めできるCDであると思う。
もちろん「よく知っている曲がある」っていうのは、
たくさんの頻度において、
耳に入ってきた機会があるというのもあるが、
たとえば、聴くだけではなく、
ピアノの発表会の選曲の題材としてとか、
ピアノを現在習っている人たちが、
レッスンの曲の選択の題材や、あるいは自分の弾き方との比較、
そして、商売をやっている人たちが、自分のスペースでのBGMなどで、
使用する頻度も高いことも挙げられると思う。
そういう点では、演奏方法やピアニスト、
また、それぞれの好みにおいて、
こだわらない認識で手に入れるのであれば、
最適なCDだと思う。
そして、クラッシックのピアノ曲を聴いてみたいけど、
何を聴いてみればわからないとか、
あるいは、よくクラッシックを知っている人でも、
これだけまとまった形のものを、改めた形で、
また、ピアニストの好みが違っても、新たな気持ちで聴くには、
ちょっといいなぁ〜って感じだと思った。
実は、私は好きなピアニストがあまりいなかったが、
この価格でこのボリュームなので、
別に改まって聴かなくてもいいかって感じで、
酒飲みながらとか、そんな感じで聴いている。
大切に聴く1枚っていうよりは、フラっと聴くには、
とてもちょうどいい感じだと思う。
プーランク:ピアノ曲集
ラベル、ドビュッシーを除くと、フランスものは聴くことが少なく、特にプーランクのピアノ曲となると録音も限られている。ロジェは、豊かな深い音色が魅力的。細かいニュアンスにあふれ、都会的な曲にも田舎風な曲にもエスプリがきいて、全体の構成に破綻がない。GRAMOPHONEで1988年にINSTRUMENTAL AWARDをとった名盤と同じ録音か。ライナーノートも親切で資料的価値もある。邦版は、さらにCD1枚分=9曲が加わり、プーランクのピアノ曲としては、とてもお得な決定版に思える。
別に、ナクソスのプーランク全集(1枚もの×3)を持っているが(私のものはカナダ製輸入盤)、こちらを弾くOlivier Cazalは、音質や総合的な腕前はロジェにかなわないようだが、時に異様なとがり方をみせ、鋭角的なリズムや呼吸、素早いテンポや指さばきに息をのむ瞬間がある。プーランクの少し病的な現代性(擬古典性)が好きなら、こちらもおすすめ。中堅のフランス人だが、新大陸でも活躍しているようで現代的。
3つのジムノペディ~サティ・ピアノ作品集
ヒーリングミュージックの代表例のように扱われた時期があったエリック・サティーですが、
このシュールな世界がほんとに癒されるのかは、個人的に疑問です。
しかし、そんな疑問を持った上であらためて聴いてみるとパスカル・ロジェの演奏は秀逸です。
初めて聴いた時は、これはシンコペーションなのかリズム感が無いのか。
とにかく気持ち悪い演奏だな。との印象を受けましたが、数回聴けば慣れてきます。
多くのピアノ曲が収録されており、録音も良いのでお薦めです。
マーターズ [DVD]
ホラー映画も数をこなして観てるような猛者みたいな人だと真面目な流れでも展開が既にギャグとしか思えないものが多くなってきます。(狙ってるのも多いのですが)
そんなホラー慣れしている人こそ観る作品だと感じました。
ここ数年発売されるヨーロッパ系のホラー映画はリアル路線を追求した作品が多く、観ていて「無茶しすぎ!」と思う中でマーターズは描写のみでみれば個人的にはベストに入るのではないかと思える作品。
自分は、理由のある暴力は理解できるので(作品として)あまり怖いとは思えないのですが、暴力というか拷問が仕事として行われるような描写にはやはり一歩引いてみてしまう怖さがあると思います。
快楽ではなく、戦争ともまた違い、仕事として目標の為に淡々と実行されている暴力が妙にリアルで怖かったです。哲学と拷問を結びつけた手法も中々上手く、よくこんな題材考えたなと思えます。
意見としては分かれるストーリー展開だと思いますが私は好きです。
作品としても特に破綻しているような事もなく完成度が高いと思いました。
「たまに怖い映画でも観てみよう。」みたいな方には正直お薦めはできない作品です…。
万人向けではないので☆4つ
プーランク:歌曲全集
プーランクはピアノ曲や室内楽曲に非常に優れた作品を多く残しました。
しかしプーランクの本領は歌曲の分野において発揮されているように思われます。
陽気かつ爽やかでありながら悲しさと荘重さを持ち合わせたプーランクの歌曲は他のどの作曲家にも見られないものです。
私は特に(挙げればきりがありませんが)「村人達の唄」や「冷気と火」「カリグラム」に彼の才能が最高に発揮されているように思われます。
演奏の方はロジェの素晴らしい伴奏、ル・ルーの歌唱力には脱帽するばかりです。
もう一人のバリトンのカシュマイユは少し低めのくぐもった声、プーランクの爽やかさや軽妙さを完全には表現しきれていないように思えますがそれでも最上の内容です。
ほかの女性陣たちも最高の歌唱力を発揮してくれています。
プーランクファンには是非聴いてもらいたい作品集です。