JIN―仁― 10 (ジャンプ・コミックスデラックス)
この本の半分は、病に倒れ風前の灯である吉十郎の、病との闘いと子への歌舞伎の思いを伝えるための生き様が描かれています。鉛中毒でもはや舞台に立つことは無謀とも思える吉十郎を、仁は延命治療とでもいうのでしょうか。江戸時代にある薬と技術で見事舞台に立たせ、そして役者として死んで行くという吉十郎の夢を成就させました。力不足を認識するとともに、仁はまだ自分が生きる価値を見出します。
後半では、力士の陣幕の肘の手術です。ただ、当の陣幕は西洋嫌い。手術を受けようとしません。ところが、ある日、仁を尋ねてきたのです。それは西郷隆盛の手紙。日本一の外科医と陣幕も認め、手術を受けることになるのです。そして、無事、土俵へと戻りました。
仁が手術したお駒も、千吉の言葉で、スリをした自分を恥ます。新たな人生が、仁によってまた生み出されたのです。