SONGS I
まず、前置きしておくと私は中村雅俊がヒットを連発していた70年代末期ー80年代初期の世代では無い。そういう訳でおそらく私の感じ方は多分他の人とは違うのかもしれない。聞いて特に思う事が、根拠の無い望郷感、ノスタルジーを激しく感じる事だ。まだ考える事さえ定まっていてない時期だったにも関わらず、この時代の中村雅俊の曲を聴くと、幼児時代に過ごした町並み風景が蘇ってくるのだ。根拠は何も無いところがまた不思議だ。
リアルタイムのファンからすれば間違った考えなのかもしれないが、中村雅俊といえば長髪、下駄、ジーパンというイメージがやたら強い。既に時は70年代末期だったとは言え、70年代哀愁フォーク路線を見事に体現していた。
このCDでも一応初期のベストと銘打っているが、実際前半部分と後半部分とでも大きく曲調が異なる事に気づいた。しかも両方とも異なる長所を持っているのが素晴らしい。前半はフォークギター等をメインとした哀愁フォーク路線で後半はデジタル楽器を多用した少し大人な路線とでも言うべきか?特に前半部分は「ふれあい」「俺達の旅」を筆頭に大半の曲が記憶にあった。まだ幼稚園にもなっていない年頃なのに、なんと言うインパクトか。個人的には心の色が一番お気に入りだ。
後半は前述した通り、クリアーなデジタル楽器が冴える大人な雰囲気の曲調で素晴らしい。しかも、大半が私好みのマイナー調楽曲と来れば言う事無しだ。やはり、私が好むする林哲司、鈴木キサブロー等の実力作曲家による所も大きいか?また桑田圭祐提供「恋人も濡れる街角」最初は、ノーマークの曲だったが、聴けば聴くほど味のある曲に思えてきた。正に大人な哀愁ポップスだ。雨の都会が浮かんでくるようで、流石桑田だなと思った。
関連キーワード:稲垣潤一 佐藤隆 堀内孝雄(アダルト哀愁シンガー) 渡辺徹(俳優シンガー)、 小椋圭 桑田圭祐(作曲)
俺たちの旅 Vol.1 [Blu-ray]
この国は戦後、一心不乱に復興発展の時期を走り抜け1975年、一種の国家的倦怠感にあった。何もかもに疲れ果てている。若者達にとっては将来に夢も希望もない、ただ決まりきった線路上の平坦な道のりを淡々と歩むような脱力感に苛まれいたであろう。そんな中このドラマにおける3人の若者は何故か眩しい存在感を放っていた。彼らの生き方はこの時代の若者達の「理想」であろう。そこにはいわゆる青春の輝きと自由を追い求めながらも現実に向き合う事を余儀無くされる3人の葛藤や苦悩が視聴する若者達の姿に投影されていた。しかし旅は続くのだ。青春の旅路は傷だらけながらも眩しく楽しいモノだと3人は教えてくれている。「面白き事も無き世を面白く」である。今の世も倦怠の時代である。だとすれば今の世の若者達にも是非このドラマを見て欲しい。
俺たちの旅 Vol.6 [Blu-ray]
日テレのあの時代の名作ドラマが今回 Blu-ray化して発売されます。BDの大容量を利用しての旧作テレビドラマのソフト化が大々的に始まったようです。うれしいですね。井の頭公園、トランザムの音楽、ほろ苦く懐かしい青春ドラマです。
私は中学の時再放送で見たクチなのですが、俺たちの旅は奔放に生きるカースケ、気弱だけど優しいオメダ、ダメなんだけどなぜか良くもてるグズ六さんの3人を中心に彼らを取り巻く人々と彼らと出会う様々な人たちとの出会いと交流、楽しいことや苦い経験を描いた青春ドラマです。
10年ごとに制作された続編も今回最終巻には収録されるそうです。カースケと洋子の恋愛は「十年目の再会」の時、描かれた物語で胸が痛くなりました。小椋佳さんの「少しは私に愛をください」が挿入歌で流れ
「やさしくしないでよ、私にやさしくしないでよ!」と砂浜で逃げ出す洋子。彼女にはカースケたちと歩んだ青春の日が懐かしく、そして切ないのでした。青春の日をともに歩んだからこそカースケに飛び込めなかった自分。振り返る青春の日は、人生のすべてではなく彼らにとっても今も続く人生の旅なのです。
「年をとる度に寂しさは増していく。されど心は俺たちの旅」
ずいぶんあの日から遠くへ来てしまいましたが、こうして再びソフト化されることで一つの時代の雰囲気が甦るような気がします。1巻ずつゆっくり購入していこうと思っています。
先日ラジオに出演した田中健さんが「実はまだ終わっていないんですよ。40年目にやりたいと思っているんですよね。」とおっしゃっていました。楽しみですね。
The Songs
中村雅俊を初めて知ったのは、われら青春という学園ドラマだった。当時、俺は、まだ小学生だったが…その後、俺たちの勲章、俺たちの旅、それからも青春学園ドラマは全てリアルタイムで観ていた世代だ。
背は高い、足は長い、そして役者なのにギターを弾いて唄う名曲ふれあい。子供心に憧れる理想の先生像だった。 そして中学生になった頃に友人と大阪厚生年金会館へコンサートも観にいった。 当時、少ない小遣いの中からレコードを買って、よく聴いていたんだが時代の変化もありレコードは、どこかへいってしまい長い間、聴いていなかったのだが久しぶりに妙に聴きたくなって、このアルバムを聴いた。 やっぱいいわ。青春なんだなぁ。
主演のドラマの主題歌は、ほとんど本人が唄っていた。懐かしく、そして一流のアーティストばかりの楽曲。いずみたく、小椋桂、吉田拓郎、松本隆、筒美京平、桑田佳祐、小田和正、一青窈など。それがレコード会社の中村雅俊に対する評価の高さを証明している。