星屑の少年たちへ(1) (アクションコミックス)
郷田作品には「脇役」がいない。
犯罪を犯すもの、その家族、犯罪の被害者、その家族、隣人、犯罪者を支える人、裁く人、傍観者。
すべての人に喜びと悲しみ、憎しみや怒りの詰まった人生があり、郷田作品ではそれが丹念に描かれる。
本書は新米臨床心理士と、近所でおきたある殺人事件の謎解きを主軸として物語が進むが、
様々な外来の少年少女たちとその家族の抱える悩み、心の闇、家族の問題に、毎回深く踏み込んでいく。
『サマヨイザクラ 裁判員制度の光と闇』とも関連しており、
緻密な織物のような人間模様と、ごくごくシンプルな(慣れなければ識別しづらい)画は、
これまで郷田作品に親しんだ読者にはおなじみのものだが、これから新しく郷田作品に触れる読者も問題なく、
期待を抱かせる物語のはじまりだろう。
どのくらいのボリュームになるのか想像できないが、いつものように私達が無意識に感じている善悪、強弱の認識の枠組みをひっくり返すような、重い問いを投げかけてくるに違いないだろう。