女ぎらい――ニッポンのミソジニー
ニッポンで、女に生まれて
解決のできない生きにくさ、しんどさ。
どんなに優秀でも、性格が良くても、スポーツができても、
結局は「容姿、若さ」という記号でのみ評価が下される
残酷さ。
東電OLの事件が起こったときは、
いろいろな記事をむさぼるように読みました。
私は彼女のように、優秀ではないけれど、
スゴク、努力してるのに
( 仕事ばかりでなく、気配りをし、
おしゃれに気を遣い・・・)
努力しても努力しても埋められない何かがあり
ほんとにしんどくて。
なぜこんなにしんどいのか?
すべて自分の神経質な性格のせいなのか?
上野先生の著書は、私にとって
救いの一つでした。
そして、今回の「女ぎらい」は
久々の 直球!!!
こんなニッポンに、上野先生がいてくれて、良かったです。
また、書物の持つ、すごいパワーに、あらためて驚かされました。
フェミニズムとか、難しいことを
私は実はよく理解してなかったり
しますが(笑)個人的には超・おススメです!
男社会で働くすべての悩める女性は(働いてなくても)
食わず嫌いせずに読んでみるといいと思います。
大ストライクだったりしますから。
名短篇、ここにあり (ちくま文庫)
まさに抱腹絶倒の半村良の「となりの宇宙人」に始まって、ストーリー展開の妙というより、語りのテクニックで読ませる作品が集められている。
単純に物語の展開だけを追う読者には物足りなく感じるのだろうか、他の評者の方の低評価は不審ですらある。
吉村昭の写実的な作品群に親しんだものとしてはシュールさとリアリズムが同居する「少女架刑」のような作品を書いているというのは興味深かった。同じことは企業小説の書き手として知られる城山三郎の「隠し芸の男」の残酷な味わいにもいえる。
ただ多岐川恭の連作の一編だけを採ったのはいささか疑問で、誤解を招きかねない。「的の男」はトリッキーかつ暗いユーモアに満ちた連作長編で、なおかつ作者の最大の美点である叙情が味わえる佳作である。ミステリマニアで未読の方にはお奨めする。
暗室 (講談社文芸文庫)
吉行淳之介の代表的作品。この作品で氏は谷崎潤一郎賞を受賞しており、文学的にも世間的にも広く認められている作品といえる。評論家、福田和也は著書の中で他の第三の新人らの作品とこの作品をあわせて「必読」と評価していた。鮮やかな描写の多い内容は確かに素晴らしい内容だと思う。
作品は著者の分身とも考えられる四十代の(さほど売れていない?)作家、中田の性的な交流や日常を描いた物。屋根裏に暮らす知恵遅れの兄弟、大量のメダカの死体、飛行機の上から怪物の様に見えた島、青い魚が描かれたマッチ……など鮮烈で細やかな描写が多く、読んでいて不思議な気分に浸れる。それらの描写も全く押しつけがましいところが無く、気持ちのいい作品だと思う。おそらく突飛な設定を除いて実際の経験を元にしているのだろうが、エッセイの名手と言われるだけあって、作家生活の描き方も全く退屈させられず、文学的価値が高いと評される訳が何となく分かるような気もする。
ただ、中盤を超えた辺りからほとんどがどろどろとした女性との付き合いばかりになるので少し退屈だった。性交の描写もだんだんと生々しくなり、読んでいて恥ずかしくなるような部分もあって、そういった部分では本当に好き嫌いが分かれてくると思う。主人公の元を離れていった登場人物達もその後どうなったかがあまり書かれていなかったのも残念だった。
全体的には非常に完成度の高い作品だと思うが、人によっては終盤読むのが少し大変な箇所もあると思う。