空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
19世紀から20世紀にかけて探険家達が成し遂げた多くの「初踏破」「地理学上の新発見」。それと比較して、現代において「探検・冒険」の意義を見出すことはできるのか、Google Earthが開発されているのにいまさら新発見もなにもないのでは・・・、そもそも「探検・冒険」とは何を意味する言葉なのか云々、と「探検」「冒険」という言葉に対する疑問を持ちながら購入した一冊だったが、実におもしろかった。
使い古された表現だがワクワクしながら読んだ。1回目の旅「空白の5マイル」の初踏破はなんだかあっさりと終わってしまった感もあったが、1回目の旅で果たせなかったことに挑んだ09年の2回目の旅を記した第二章は頁を捲る指が止まらなかった。現代でも探検や冒険が可能なんだ、と思いながら夢中で読んだ。
しかし、では何故これが探検や冒険なのかが上手く頭の中でまとまらずもどかしかった。これが中学生の頃であればワクワクしただけで終わったように思うが、評者はすでに中年、どうしても考えてしまう・・・。
エピローグの著者の文章でモヤモヤしたものが晴れた。P292〜295にかけて著者の「冒険」に対する考えが記されている箇所だ。
著者はこう記す。
《この時代に探検や冒険をしようと思えば、先人達の過去に対する立ち位置をしっかりと見定めて、自分の行為の意味を見極めなければ価値を見出すことは難しい》
そして、09年の2回目の旅はやり方にこだわったとしている。具体的には、先人達とできるだけ同じ条件に自身を置くため、単独行にこだわり外部との通信手段を放棄したのである。
さらに、こうも記している。
《極論をいえば、死ぬような思いをしなかった冒険は面白くないし、死ぬかもしれないと思わない冒険に意味はない。》
無責任だが、読み手にとっても同じことが言えるような気がする。
《極論をいえば、〈著者が〉死ぬような思いをしなかった冒険は〈読んでいても〉面白くないし、〈著者が〉死ぬかもしれないと思わない冒険は〈読んでいても〉意味はない》
ゾンビッド ティーンエイジ・ゾンビの恐怖 [DVD]
映画としては大したことはない。
といってしまうと話が続かないので、
ティーンエイジャーとホラー映画の関わりについて、
少し書いてみたいと思う。
本作もそうだが、ホラー映画の主役に
十代の少年少女が躍り出て来たのは
一体いつ頃のことなのだろうか。
3〜40年代、
ホラー映画の主役は若者ではあっても、
皆成人した大人の男女であり、
未成年者が主役で活躍するホラー映画という
のは聞いたことがない。
ホラーに限らず、映画史そのものを紐解けば、
やはり嚆矢として名を挙げられるのは、
ジェームス・ディーンの「エデンの東」だろう。
この作品が公開されたのが1955年だ。
デイーンとほぼ時を同じくして、
マーロン・ブランドの「乱暴者」が公開される
わけで(ディーン、ブランドともに育ての親が
エリア・カザンという共通点があるのも興味深い)、
一応この年をティーンエイジャー・ムービー
誕生の年と位置づけても良さそうだ。
本作はそれからさらに三年が経過した、
1958年の制作ということになっている。
ちなみに前年の1957年、AIPはティーンエイジ版の
フランケンシュタイン映画、
「怪人フランケンシュタイン・生き返った死体」(
原題はモロ、I was a teenage frankesteinである)
「心霊移植人間」(I was a teenage Werewolf)、
「怪人女ドラキュラ」(Blood of Dracula)
と立て続けに三作、
ティーンエイジ物とホラー物を合体させるという
試みを行っている。
いずれも成功作とはいえないが、
映画史的には興味深い現象ではないだろうか。
さらに面白いのは、この現象は60年代以降も続き、
バート・'T・ゴードンの「巨人の村」や
70年代以降のいわゆるアメリカン・モダン・ホラーにも
受け継がれて行くという点である。
「悪魔のいけにえ」「ハロウィン」「13日の金曜日」「エルム街の悪夢」など、
大ヒットし、シリーズ化された作品でも襲われる側の人間は
本作と同じ、十代の若者たちであった。
ただ、これがハマー・フィルムの大スターであった
ピーター・カッシングやクリストファー・リーのような
大人のスター俳優を生み出す障害にはなったかも知れない(
ドナルド・プレザンスとジェフリー・コームス、
ロバート・イングランドを除く)。
・・・というようなことを本作を観ながら、
つらつら考えてしまった。
作品自体の評価は二つ星で充分と思うが、
メーカーへのさらなる期待を込めて、
三つとさせていただきます。
恐怖の雪男 [DVD]
原題には「恐怖の」という修飾語はありません。
日本未公開ですから、DVD化された時点で「恐怖の雪男」となった訳ですが、Sales的には必要だったんでしょう。
故に、雪男が大暴れするようなStoryを期待すると、大いに裏切られます。
姿すらLastでチョロっと見せるだけですから(それも洞窟の中なので造形がよくわからない)、拍子抜けするのは覚悟しましょう。
しかし、Suspense物としては結構マトモな作品ですし、白黒映像が何とも言えない雰囲気を醸し出しているので、睡魔に襲われたり、退屈したりする事はありません。
雪男を見世物にするため、生け捕りにしようとする探検隊にピーター・カッシング演じる植物学者が同行するSFチックな冒険Adventureとも言えます。
道中の過程で色々なTroubleに見舞われるのが、見どころになっています。
どうせなら、雪男の登場を物語の中盤ぐらいに早めて、Dracula伯爵並みの活躍をさせれば、映画の雰囲気も変わったと思うのですが。
青の祓魔師 2 (ジャンプコミックス)
「最強の祓魔師」を目指す奥村燐の物語第2巻。
メフィストフェレスによって入学が許された燐(1巻にて)が入った「祓魔塾」。ここで燐は「訓練生(ペイジ)」として修行することになる。古ぼけた教室にいるクラスメイトは一癖も二癖もある輩ばかりだった。
優等生ヤンキー「勝呂竜士」、爽やかな変態「志摩廉造」、チビメガネ坊主「三輪子猫丸」、ツンデレ巫女「神木出雲」・・・そして謎の2名。
彼らは「候補生(エクスワイア)」試験を受けることになる。たかをくくる彼らだが、予想のつかない事態に混乱する。更にその裏では燐に因縁を持つものが謎の行動を取る・・・。燐は自ら背負った大きい宿命を身を持って知ることになる。
今回は新しいキャラがバンバン出て来ている。一人ひとりのストーリーが語られていて、いけ好かないアイツが持つ過去と野望、あのツンデレな表とは裏腹で繊細な心を持つアイツなどなど・・・・。とても好感が持てる。ちょっとした エ ロ い サ ー ビ ス もあり。
おまけの4コマも嬉しい。挿絵も見るたびに綺麗と思わせる。
今巻も良作。