平和ってなんだろう―「軍隊をすてた国」コスタリカから考える (岩波ジュニア新書)
同じ足立力也氏の著書に「丸腰国家」(扶桑社新書)がある。
内容的には、「軍隊を捨てた国コスタリカ」の紹介と
なぜ軍隊なしでやっていけるかの分析で、
このジュニア新書と方向性は同じである。
こちらはジュニア向けに書かれているぶん、やや検証が甘い気もするが
だからといって本の価値が落ちるとは思わない。
まえがきに、コスタリカの人たちのこんな声が紹介される。
「アメリカの民主主義は不完全だ。彼らの大統領は常に大勢の警備員を連れている。
コスタリカの大統領なんか、早朝にそこらへんの公園を一人でジョギングしていたり
休日には家族だけでビーチに行ったりする。
民主主義と軍隊は相容れないものだ。もし軍隊があるのなら
そこには真の民主主義はない」
もちろんこれは、そのまま額面通りには受け取れない。
さまざまな周辺事情も考慮しないと
単純にアメリカ大統領とコスタリカ大統領の比較はできない。
この本は、その「解析」を試みた本だともいえる。
コスタリカ人たちの考える「平和」というものを解析することで
世界の将来や平和について考えよう……そういうことだろう。
こういう本を「平和ボケ」とか「非現実的」と頭から否定するのはたやすい。
しかし、「待てよ……」と立ち止まって考える意味はあると思う。
アートコーヒー 大使館御用達コスタリカSHB 250g
ペーパードリップとコーヒーメーカー、エスプレッソメーカーで飲んでいます。
最初ペーパードリップで1人前入れて飲んだときは癖のない飲みやすいコーヒーだなと思いましたがコーヒーメーカーでマグカップ2人前入れるとなぜか苦味を強く感じる。
ペーパードリップで2人前入れてみるとコーヒーメーカーほどじゃないけれどやはり苦味が強くなる。
どうしてだろう?
エスプレッソメーカーで入れたときはペーパードリップで1人前入れた時と同じようにまろやかでやはり癖のない味でした。
結局ペーパードリップで1人前ずつ入れて飲むのが僕には一番合っているようなのでそうしています。
値段から考えるとコストパフォーマンスの高い非常に美味しいコーヒーだと思います。
ぜひ他の方のご意見を聞いてみたいコーヒーです。
愛その他の悪霊について [DVD]
静かな映画である。
台詞も最小限に抑えられ、美しい映像と役者の姿を追う事で話が進む。
マルケスの世界を現実として受け入れ、狂気や毒気、マジックレアリスム的要素を引き算し、
押さえた表現と美しい映像で、幻想的な作品に仕上げている。
マルケス原作の映画で少女が主人公の「エレンディラ」(大好きな映画の一つ)があるが、
映画「エレンディラ」が原作の空気をそのまま味わえるのに対し、
この映画は監督のイメージの世界を味わうものとなっている。
監督が一度咀嚼し取り入れた後に、少女の彫像を彫り上げるように作りあげた印象。
マルケスの作品を知る者からすると肩すかしを食らうが、
約一時間半という短い作品ながら彫り上げられた彫像は冷たく美しく、珠玉の作品。
オーパ、オーパ!! アラスカ至上篇 コスタリカ篇 (集英社文庫)
文庫本での『オーパ!』シリーズは4冊ありますが、私はその中でこの一冊が最高ではないかな、と思っています。それは、開高氏はこの『オーパ!』シリーズ以外にも釣紀行文を幾つか書いていますが、その中でも最高と私が考えるキング・サーモンの項が収められているからです。
年齢的なものや、心情的なものなど様々なものがあるかもしれませんが、その文章は自身が『宿怨』とまで評した魚との対峙であるにも関わらず、驚くほどに静かで、客観的なもので、私には最初異質のものと映ったほどです。
読み返す内に傍らのカメラマンの呟きを捉えて、自身の心情を代弁させている部分に、またぐいと引き寄せられて改めて、氏の背景にあった宿業のようなもの深さと、その昇華の瞬間を垣間見たような気がしました。釣師として無垢になれる一瞬だけでなく、人として無垢に帰れる一瞬が描かれたこの巻を氏の最高の紀行文が収められたものとしてお勧めします。