田園交響楽 (新潮文庫)
ある疑問が、私の中に、何度も巡る。
手術の成功により、盲目ではなくなったジェルトリュードが、投身したのは何故か?
物語を、表面的に読む限りでは、一定の結論が考えられるが、それでも、キリスト教精神に反する。
当初は美談の様に見えるが、実は悲壮だ。
そして、根本的な疑問を残して、物語が閉じられる。
その答えは、我々各人が、自分の心の中に、見つけるしかない。
当初、盲目のジェルトリュードには、何でも見えるのだと思った。
人の心や、風景さへも見えるのに、語り手である牧師には、それが見えないのかと思い、もどかしく感じた。
ところが、そうではなく、牧師は、すべてが見えていたにもかかわらず、自らの心に蓋をしてしまった。
比較的短い物語に、著者は特定のテーマを集中させている。
そのため、展開が急過ぎる様な印象も受けるが、むしろ、その方が、テーマが浮き彫りになる。
本作品は、人の心の内面の、さらに内ら側に迫る。
エロイカ 英雄交響楽 [DVD]
偉人を語る名作は数多くあるが、この作品もその中のひとつと言えよう。 冒頭は交響曲で始まり、熱愛、ソナタ、最後は歓喜で結びベートーヴェンファンならずとも偉大なる作曲家であったことを彷彿させられる。 誰しも後日もう一度CDでフルコーラスを正聴したくなる。
ただ画中の主人公のソロ演奏が次第にBGMの音響と融合しカットシーンに至る所は、古い手法であるなと感じた。またモノクロによることで現代人の感覚に絶景やノシタルジーがどこまで浸透されるかが問題である。