ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
恐らく、約一年ぶりくらいに巡りあった、心底素晴らしいと思えた名作。1953年にイギリスで出版されてから世界各国で翻訳され、空前の大ベストセラーになったようです。
ストーリーは、2次戦最中のイギリスで、足と翼に障害を持つスズメをひとり暮しの婦人が拾うところから始まり、まさにゆりかごから墓場まで12年もの間、まるで本当の我が子のようにスズメ(クラレンス)に愛情を注ぎ、脳卒中になり老衰で天寿を全うするまで共生します。クラレンスの感情表現豊かで茶目っ気たっぷりなところ、知能の高さを伺わせる数々の奇跡的事実には本当に驚くばかり。
色々なレビューにある通り、これは単なる"愛玩物語"ではなく、歴とした記録であることが一番の魅力です。
この女性の、かえって感情的表現を交えない淡々とした筆致からどれだけクレランスが大事な家族だったか、そして、彼を失った悲しみがどれだけのものだったかが痛いほど伝わってくる。
どんな小さな命も、美しく、そして、尊い。それを世界中に証明してくれた知性溢れる著者と可愛らしいクレランスのストーリーはこれからも語り継がれ、世界中に生きる勇気を与え続けてくれるでしょう。
西の魔女が死んだ (新潮文庫)
普段は読まない感じの本なのですが、
感動する、泣けるという評判を聞き、購入してみました。
読んでいる間も「ほんとに泣けるのかよ・・」
という気持ちでいましたが、みなさん同様泣きました。
電車の中だったのでこらえるのに必死でした。
小さな頃、おじいちゃんおばあちゃんっ子だった私は
成長するにつれて、だんだんと離れていきました。
おじいちゃんおばあちゃんを大好きだったことを
忘れていた気がします。
この本で、やっとそのことに気づいた今でも
祖父祖母4人とも健在であることがどれほど幸せなことか・・
何年か先、彼らの死に直面したとしても、この小説を思い返して
「死ぬことが悲しいこととは限らない」
と自分に言い聞かせたいと思っています。
虹
私はダウンロード購入したので、今も歌詞カードを見たことがありません。そこで、すべて書き取ってみたのですが、どうでしょう。この詩的で、散文的ですらある美しい歌詞。現代の日本のポップスは、それこそラップのように早口で何を言っているのかさっぱり分からない、そうでなければサビに英語をずらずら並べる。似たようなものばかり。そんな中でこの歌は格が違うように思います。
メロディーは素朴で少しケルト的な要素を持っているので、日本人の耳にすーっと馴染んできます。
「空には 生きている 叶える 虹が微笑む・・・」
歌い手の手嶌葵さんは、ゲド戦記で話題となった21歳。その歌声は大きな可能性を秘めているのですが、ここのところカバー作品しか発表しないのが気になるところ。彼女の魅力を活かすには、もう少しオリジナル作品を発表してほしいと思います。今後の活躍に期待します。
夏の庭―The Friends (新潮文庫)
私がこの本を読んだのは中学3年の時です。受験まっただ中に母から渡されたのがこの本でした。なにもこんな時期にこの本を渡さなくてもとおもいながら、勉強そっちのけでこの本を読んでいたのをよく覚えています。とにもかくにも私はこの本と出会ったことで、読書家の仲間入りをすることとなりました。この本との出会いがなければ私は今程本を読んでいなかったでしょうし、今こうしてレビューを書いていることもきっとなかったであろうと思います。
小説ビギナーのあなたへ送ります。
この本はとっかかりには最高です。