NHK「その時歴史が動いた」 武乱世を制するリーダーの条件~湊川の戦い 足利尊氏、苦悩の決断~ [DVD]
弓削道鏡・足利尊氏・田沼意次を「日本史の三大悪人」とする歴史観は、さすがに過去の遺物(で、ほぼその評価は今や逆転していると言ってよい)であろう。にもかかわらず、過去に押された負の烙印の大きさのためかドラマの主人公にもなれずトータルな人物像がいま一つ知られていない足利尊氏。その論理や行動を近年の歴史学の成果を踏まえ、尊氏本人のみならず後醍醐帝や楠木正成からの視点も交えて浮き彫りにした、貴重かつ優れた番組である。惜しむらくはゲストのコメントにややシャープさが欠けていることだが、それを差し引いても双手を挙げてお薦めしたい。
NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第一巻 [DVD]
原作をリアルタイムで見たのですが、本当に素晴らしい内容だったのを今でもハッキリと覚えています。総集編でカットされたものを見たら大分話が継ぎ接ぎで魅力が半減してしまっていたので完全版のリリースは喜ばしい限りです!
2時間で教養が身につく 日本史のツボ (青春新書INTELLIGENCE)
36ページ、
天皇⇔貴族⇔武士⇔庶民
と、主権が移動していく過程の流れ図は面白かった。
自分は学生時代、歴史に興味を持てず苦手であったが、
ものの数ページで惹き込まれるぐらい、分かりやすい文章で有意義な一冊だった。
受験生が、まず歴史の流れをつかむのにも適しているのではないか。
98ページ、
日本で革命がなかなか成功しないのは、
『壊したあとの設計図がないからだと言われる』
は、たいへん印象に残った…
そういえば、”あの方”が、自民党を壊したあとは……………
信長秀吉家康の時代である第5章はやはり注目!
特に信長のおこなった文化政策の記述は面白かった。
著者が、おっしゃりたかったポイントは、
ラスト数ページに織り込まれているようだ。
”歴史は何度も繰り返す…”
『武士が貴族になると、必ず生活がゼイタクになり、またその精神も堕落する。
武士であったころの初心原点を忘れてしまう』…
そして、武士の貴族化に怒った西郷さんの ”西南の役”や”官僚主義と官僚制の違い”
などの事柄を引き合いに出してから、最後に…
果たして現状
『主権は国民』の手にあるのか?
と、問うていた…
むむむ…(成程)
NHK大河ドラマ 太平記 完全版 第弐集 [DVD]
Amazonはよく利用させて頂いているんですが、レビューを書こうと思ったのは初めてです。興奮してます。どれほど待ちわびたことか。NHKエンタープライズにも何度か要望を出したりしました。とにかく、大河ドラマ中の最高傑作です。毎週毎週日曜が待ち遠しくて、土曜の再放送も必ずチェックしてました。もちろん総集編も購入して、何度も見返しながら、どうしてこれほどの名作の完全版が出ないのか恨めしく思ったものです。最近のホームドラマの如き大河ではない、本当に骨太で視聴者に媚びない頃の大河ドラマです。とにかくおすすめ。早く見たい。
足利直冬 (人物叢書)
なぜか中世史にめっぽう強い人物叢書シリーズ。
これ以前にもマニアックな人物を意欲的に刊行してきたが、よもや足利直冬が、養父の足利直義を差し置いて出版されるとは…思わなかった。嬉しい誤算。
丸々一冊、しかも人物によっては極端に物理的な厚みがなかったりしてボリュームに差のあるこのシリーズにあって、平均的なボリュームで足利直冬だけを扱った研究書なんて、貴重以外のなにものでもあるまい。
さて前置きであえて「直冬という人物にこれそれの点で同情はするが、全体像としてはあまり共感できない。思い入れのある人、冷淡な傍観と捉えられる部分があったらゴメン」的な謝辞を述べている瀬野先生、いやいやだからこそ最後までかくも公正に纏め上げられているのだろう。執筆依頼から刊行までにかかった40年は、決して無駄ではなかったのだと思う。
肝心の内容は、人物叢書の名に恥じず、生い立ちから死に至るまで、史料と諸説を踏まえて丁寧に掘り下げられている。
まず謎の多い出自、幼少期に関しての史料による追究と考察は、柔軟な視線でわかりやすい。徐々に描き出される少年期の周辺環境や心情も、直冬にシンクロするのではなく、あくまで歩み寄って客観視するスタンスがいいのだ。
惜しむらくは、瀬野先生が直冬の将たる資質を疑問視しているため、各地への転戦の状況や、ひとつひとつの戦の意義や姿勢に対して、かなり手厳しい見解が語られている。この辺り、ファンにとっては痛い文面が続くので覚悟が必要。
またそれゆえか、九州へ拠点を移して後、武家方(幕府方)でも宮方(征西府軍)でもない第三勢力、直冬方(佐殿方)として名乗りを上げたことの意味が重要視されず、配下の将たちの動向を整理するに留まっている。
まぁ、今川直貞、礒部左近、仁科盛宗、畠山直顕といったお馴染みの面々が、直冬の下で堅実に働き、機能していたことが確認できるのは喜ばしいことだが(笑)
ただ生まれながらにして武将の子として育った直冬ではないので、その観点から、危うい立場で各地を渡りながら、何を成そうとしたかに深く触れて欲しかった気はする。
ともあれ、出自とともに死亡にも諸説ある直冬。子孫の行く末、果ては後南朝との関わりまで情報を提示して結ばれているのは、読者の想像力を最後まで喚起する運びになっていてありがたい。
瀬野先生自身が前書きで求めているように、読者自身の蓋然性で以て、本書の与える情報から直冬という人物を読み解く視線を持つならば、十二分にバイブルとなりうる一冊だ。