愛と死をみつめて [DVD]
1960年代に思春期を迎えた人間で、この原作を読み、映画を見なかった人はいなかったのではないかと思う。
最近、テレビでドラマ化されるようだが、私は期待していない。時代が違いすぎるもの。
この物語は、「いつまでたっても色あせない」けれど、リアルタイムで経験したか否かで、印象は全く違うと思う。
不治の病の主人公とたまたま同じ病院に入院した中央大学生(僕の母校だ)が、今と違って、メールではなく手紙で〜しかもタイムラグがある〜切々とほのかな愛情を伝える物語は、原題を基準にすれば、もどかしすぎる。
僕は、ボロボロになるくらい原作を読み、映画館に通い、主人公の「マコ」の大学の後輩になって飯田橋あたりの名画座にこれがかかると見に行っていたが、吉永小百合さんが完全に「ミコ」になりきった鬼気迫る演技にいつまでも、飽きることはなかった。
この作品を、全く新規に見る方には、相当の違和感があるかもしれない。特に、この作品が製作された後の世代には、まどろっこしい作品かもしれない。しかし、かつて、日本でもこういう心情を持った人が多数存在して、圧倒的な支持を受けたことを、頭の片隅においていただき、今の日本を考えてくれたら嬉しいなどと、中学一年のときにこの原作を読んだおじさんは考えるのです。
性同一性障害 ―性転換の朝 (集英社新書)
埼玉医大の性転換手術以来,「性同一性障害」という言葉が世間に広く知られるようになり,それなりに情報は流通するようになった。
しかし,残念なことに,そのほとんどが,きちんとした根拠をもたない伝聞情報や虚偽情報であり,真摯に救済を求める当事者や,その当事者を理解しようとする一般の人たちを,かえって苦しめる結果になっている。
この本は,その種のたぐいの「トンデモ」情報とは一線を画すものであり,とくに著者の吉永みち子さんの丁寧でバランスの取れた取材には,敬意を表したい。
本書は,現時点でベストの「性同一性障害入門書」である。この本を読んだ後で,虎井まさ衛さんの著作や,医療・法律の専門家の著書に進むのがよいだろう。
気がつけば騎手の女房
最近よくTVにも出演している吉永みち子さんの大学生時分から競馬新聞の記者となり、騎手の女房になるまでが描かれています。特に、興味を引いたのは、彼女の新聞社での仕事ぶりで、女性が完全なる男社会の競馬界で仕事をすることが如何に大変なことであったか、これが一番印象的でした。女性の方で、男社会である企業等に入って苦労されている方も多いと思いますが、そういう方には強力な援軍となるように思いました。
福島瑞穂の新世紀対談
いま、日本の現状について危機感をもっている人が多いのではないでしょうか。政治にしろ経済にしろ、閉塞感が蔓延している。そんな中で日本の現状を打破しようとがんばっているのが本書の著者、福島瑞穂さんではないでしょうか。各界から、著者と同じように危機感をもち、行動している人たちとの対談を読んでいると、我々も何かしなければ、もっとポジティブにならなければ、そう思わせるようなパワーを感じる。本書を読んで、みんながもっと前向きな気持ちになって欲しい。