華氏451 [DVD]
好き嫌いで言うと、好き。調子の良い時のヒンギスが、ビシッ、ビシッっとコートの隅に隅に決めるみたいに、何もかもがカチッとあるべき場所にはまってるという感じで気持ちいい。
しかしダメという人には、逆にそれが仇なんですよね。美人は三日で飽きるというけど、これってそういう映画かも。脚本から構図から何から何までまとまりが良すぎるから、かえって深みに欠けるのでは……と。
ラストの天気は想定外だったみたいですが、望み通りの天気だったら、トリュフォーはどういう絵を撮るつもりだったんだろうと考えてしまいます(全く想像出来ない……)。
日本の伝統 (知恵の森文庫)
伝統を徹底的に見返す―。それがこの著書「日本の伝統」の目的であると岡本太郎は言う。
古いものをカサにきて現実を侮辱する事を、岡本太郎は非伝統的であり、人間として卑怯なのだという。
そういう気分に対する憤りが、岡本太郎にはあった。
岡本太郎は、法隆寺の失火による壁画焼失のことについて、「法隆寺は焼けてけっこう」だと言う。そして岡本太郎は、「自分が法隆寺になればよい」と言う。
焼けてしまったのなら嘆いてもしょうがない。それよりも、法隆寺よりもっとすぐれたものを作ろうという気迫が大事である。そしてそれを、現代人が穴埋めすればよいのだ―。
私自身、伝統文化というのは基本的に守っていくべきものだと思っている。だが、こうした岡本太郎の指摘は貴重であり、示唆的なのだと思う。
私なりに解釈してみると、「伝統の存続」は必ずしも、「精神の存続」とはならないというわけだ。本来大事なのは後者であるという事だと思う。
そして岡本太郎自身が「法隆寺はやけてけっこう」の心境に至った理由は、端的に言って、いい気な伝統主義者を嫌った、と察せられる。
“過去は現在が噛み砕き、のりこえて、われわれの現実をさらに緊張させ輝かすための契機であるにすぎません。現在が未来に飛躍するための口実なのです。つまり、かんじんなのはわれわれの側なので、見られる遺物ではない(60頁)”
本書は、私にとって大いに示唆的だった。こうした伝統の見方があるのだと、そう思わせられた。
伝統とは何か。その事に、視点を提供してくれる本なのだと思う。
シャーロック・ホームズ 死者からの手紙―クイーンズ・パーク事件 (シャーロック・ホームズミステリー・ゲーム 3)
ホームズの新たな事件を自分自身の手で解く・・・という、ゲームブック方式の大型本。地図や資料が添付されているので、それを駆使して不思議な事件の謎を解く、「使う」本。読む本ではなく、解いてみないと結末はわからないので注意!
この世[現実]はまもなく霊界化する 量子力学・日月神示・般若心経・王仁三郎の超結論 (5次元文庫)
量子力学・般若心経・輪廻転生などに興味を持っている方なら、非常に興味深く読んで頂けると思います。
もちろん日月神示・霊界、そして宇宙。それらが見事にリンクしています。
見る人から見れば、リンクするような記事しか書いていないからだ、と、思う向きもあるかも知れませんが、物語として読むだけでも新しい概念に出逢える本だと思いますよ^^
そして、バシャールやアセンションに興味をお持ちの方に、新たな視点をもたらしてくれると思います。
仏教の教えは堅苦しいから苦手という方にも、苦手意識を少し横においていただいて、気軽に触れて頂きたいなぁ、と感じております。苦手な仏教もほんのり科学的に映ることでしょう。
冒頭に、なかなか衝撃ながらも、どこか納得してしまう”この世は監獄であるから”という、仏教の”四苦八苦”などの思想(悟りを開いた人の教えといえばいいかな?^^;)に沿うように展開する世界に、胸の痞えがおりたようでした。
古きよき日本の奥ゆかしさ、心遣い、昔には日本に当然のようにあった精神が、大切にされてきた理由と、宇宙の新たな概念、精神性の向上をなぜ目指すのかということを考えさせられる本でした。
後半にある予言部分については、あまりコメントすることはないですね。
予言とは世に出た時点で変わっていくとも言いますしね^^
日本沈没 下 小学館文庫 こ 11-2
私は根っからの文系人間である。だから、正直、この作品の科学的部分が殆ど理解できないので、30年以上前に書かれたこの作品が、現代の科学において荒唐無稽なものとされるかどうかは判らないが、そんなことは関係なく、現代でも充分通用する面白さである。
日本沈没という設定から、ありとあらゆる状況を創りだしてゆく著者の想像力に驚くばかりである。中盤以降の展開は圧倒的である。
ただ、天変地異という自然現象が主役となっている作品なのでしょうがないのかもしれないが、もう少し人物の描写に筆を割いても良かったような気もする。しかし、それが過ぎると焦点がぼやけたかもしれないので難しいところではある。
とにかく、SFというジャンルの枠を超えた小説である。読んで損はない。