COLORS
ひさびさに「ザバダックらしさ」が前面に出たアルバムである。力強いリズムと野趣あふれるメロディ、たくましい地を這うようなヴォーカルもさすがといったところ。冒頭曲「僕のビー玉」は初期のテクノっぽいイメージを引きずりながらも小峰公子のヴォーカルによってたちまち物語世界に。この色彩の移り変わりはまさしくザバダックだ。不思議なちょっとコワイ感じのする歌詞も冴えている。2曲目ののスケール大きな飛翔感もザバダックの得意な感じだ。他にもインスト曲「BIRD'S ISLAND」、五音音階的跳躍を用いた「星ぬ浜」、9分を越えるエスニックな「天使の匂い」、また五音音階系の「夏至南風」(サビは違う・・・)とこのあたりの連続する構成感も見事。また「夜明けまで」は特に吉良フアンにはたまらない曲だろう。アルバムタイトルともなっている「COLORS」は大規模なトリビュート・サラブレイト・ソングとでも言えばいいのだろうか。やや色違いに明るい色調のメロメロ系だが、まっすぐに聴けば感動するだろう。そして終曲「OYASUMI」でもとの世界に戻って行くかのように全曲を終える。個人的にはかなり好きなアルバムである。
initial イニシャル ~岩井俊二初期作品集~ [DVD]
僕がまだ高校生の時、深夜に偶然みた映像が今回initialというパッケージで発売されてとても懐かしくそして岩井俊二監督の原点として感じることができました。
また、その作品ひとつひとつに対して監督の想いを語ったインタビューが放送された当時には解らなかったことなどが、いまこのDVDで探求することができる。
ここまれに見るすばらしく貴重な作品集だと思われる。
フィンランド民謡の花束
カンドミノ合唱団は個人的に私の知りうる中で一番好きな合唱団です。という勝手な理由でこのCDを大絶賛しますw。以前、この合唱団のCDを何枚か所持しており、それを母校の混声合唱団に寄贈しました。ところが、最近また合唱をやることになり、久々に聞きたいと思いネットのCDショップなどで探してみたら・・・、なんと現在フィンランディアのレーベル自体が無くなってしまっており、カンドミノのほとんどのCDが入手困難な状況にあるとのことです。(大ショック!)この「フィンランド民謡の花束」はまだ入手可能なようですが、手に入るうちに買っておくべきでしょう。発声もアンサンブルも選曲も、非常に素直で親しみやすく、明るく、合唱に興味が無い人でもこの合唱団は好きになっていただけるのではないでしょうか。ぜひ鑑賞してみてください!
夏至 特別版 [DVD]
実はうつ病を患っている者です。
だいぶ症状は改善されてきていて、DVDも観られるようになりました。
そして今、抽象的な表現ですが、精神的にとても身体全体が「水」を求めている感覚がして、この映画はほとんど予備知識なしで観ました。
この映画は、あるインテリア雑誌に紹介されていたのがきっかけで購入しました。
夜に一人でみたのですが、まさに今・・・自分が求めていた水のもつ柔らかさ、激しさ、そして激しくないカット割、登場人物たちの生き様・・・まさにこういう映画で癒されました。
最近は、いわゆる「ヒューマンドラマ」映画でも、アメリカ映画ではドラマティックな展開が挿入されていて、それすら受け付けられないほど、疲れている自分にようやく気がつきました。
(だからといって「ディープ・ブルー」のようなドキュメントは苦手)
ベトナムは、「水曜どうでしょう」のラストの企画で、大泉洋と鈴井貴之がカブでベトナム縦断したのを観ていたので、大まかなイメージはありましたが、この映画はそういうリアルな部分ではなく、ベトナムの持つ美的・・・耽美なエッセンスを凝縮した映画でした。
何度も繰り返しますが、この映画に出会えてよかったです。
こういう映画、いくつも観てみたい。
ちなみに、この監督さん、村上春樹氏の「ノルウェイの森」の監督なんですよね。
個人的には「ノルウェイの森」の映画は失敗するだろう、と思っていたのですが、この映画をみて、この監督なら、期待できるかも、と俄然見たくなってきました。
村上春樹氏も トラン・アン・ユン監督が好きだ、ということで企画が実現したそうですが、原作の持つ繊細さ、喪失感をどう表現するのか、とても楽しみです。