男は敵、女はもっと敵
まず、昔の男 西村が女々しい・・・というかバカです。
読んでて哀れにすらなります。
自意識過剰の人って、周囲から見ると本当に気の毒ですね・・・。
さて、主人公の藍子はさばさばしていて行動的で、かっこいいです。
ぜひ友達にほしい人柄です。
そばにいるだけで前向きになれそうな、そんな感じです。
もう後何年かしてから読んだら、もっと深く共感できるかも。
【本気の女】の中で、凄いシーンがありました。
本編とは関係ないんですが、二股をかけられた女の子が居酒屋で、浮気相手と一緒にいる恋人とばったり会った時、相手の女の子に近付いて行って、殴るのかと思いきや、自分の口の中に指を突っ込んで、胃の中身をぶっかけるという(∋_∈)
得意技なんだそうです(怖)
あと面白かったのがお弁当。
家から持って来たお弁当箱を開けると、ご飯のみが入ってるんです。
で、かきまぜると、底に敷かれたカレーが出てくるという(笑)
上にかけると蓋に付くし、こぼれたら大惨事ですが、底に敷くとは・・・
短篇なんですが、それぞれに関連のある話で、本編だけでなく、サイドストーリーも一緒に読めるような仕立てです。
ラストはちょっと哀愁を帯びています。
『なににも束縛されずに、自分が思うまま自由に生きていらっしゃる、だって。たしかになににも束縛されてはいない。だからといって自由であるわけではない。女がひとりで生きていくとはそういうことなのである。』
男は敵、女はもっと敵 (集英社文庫)
山本さんの作品これでコンプリート?
36歳フリーの映画宣伝マン高坂藍子。
彼女と彼女を取り巻く人間模様を描いた作品。
しかし、彼の作品の中では
いちばん登場人物がいただけない。
魅力的な人間がほとんど出てこない。
どの登場人物も
なにかしら、嫌なところがあり、
素直に「この人いいひとだな」って思いが出てこない。
普通に見えて、どの人物も一癖も二癖もある人物ばかりで
読んでてちょっと疲れました。
連作短編だったからまだよかったけど、
これが長編だときっと疲れきってただろうな。
まったく面白くないというわけではないけど、
これまでの作品がいい作品が多かっただけに
ちょっと評価も辛くなるかもしれません。