大空港 [DVD]
昔はいっぱいあったオールスター出演のパニック映画の一作。
個人的には大好きだったのだが、俳優一人あたりの出演料が高くなりすぎた
昨今ではもう作れない作品でもある。
いろいろな問題が積み重なっていき、ついには爆発。
一旦は主人公等の活躍で収まりそうになるのだが、間抜けな奴もしくは悪役
のせいで問題は更に悪化。
2番手くらいの主人公の犠牲的精神によって最後はハッピーエンドという
王道もこの映画もしっかりとっていて、安心して見ていられます。
(これは原作がアーサー・ヘイリーなので特に)
子供時代にこういう作品から映画に入っていった人がきっと映画好きになるのだろう。
この後もやたらとエアポート○○という続編みたいな作品を生んだ
娯楽作の記念碑的作品。
大空港 [DVD]
現在この映画をDVDで鑑賞すると、役者の演技やストーリー展開がよく見えて、なるほどと感激することができるが、当時は、そんなことよりもハイジャックの恐怖がどういうものかに焦点を絞って観ている方が多かった。
豪華キャストということですが、なんと5人のオスカー受賞役者を起用しているのをみても納得です、特に、爆弾犯役のヴァン・ヘフリンと、その妻に扮するモーリン・スティプルトンはどちらもアカデミー助演を受賞している名優です。ジョージ・ケネディーは主演級の男優ですが、数々の大作に名助演としての演技は見事なものでしたね。それから、英国出身のジャクリーン・ビセットはアカデミー賞には見放された無冠の名女優ですが、ゴールデン・グローブ賞では4度のノミネートは立派の一言です。
しかし、なんと言ってもこの作品で39年ぶり2度目のオスカー受賞に輝いたヘレン・ヘイズは大した物です。歴史的なカムバック賞に値しますね。
大空港 【ベスト・ライブラリー 1500円:アクション映画特集】 [DVD]
この映画は超大作です。
いまではすっかり死語となったオールスターキャスト
と呼ばれるハリウッド最後の作品かもしれません。
少なくともそのひとつでしょう。
クレジットのトップをとれる俳優が何人出ていることか。
スターたちのギャラが天井知らずの今日ではもうできま
せんね。
1970年のこの映画はふたつの点で映画の世界に大きな
影響を与えました。
ひとつ
大ヒットしたアメリカでは、パニック映画の大ブームを
巻き起こしました。
映画ファンならパニック映画の10や20はすらすらいえる
はずです。
もちろん大半はあぶくのように消えてゆく消耗品ですが、
なかにはバリエーションとして工夫をこらした大傑作も
生まれます。
75年のジョーズ。
79年のエイリアン。
S・スピルバーグやR・スコットの傑出した才能はパニック
ブームの力など借りなくても、いずれ本来の居場所をかち
えたに違いありません。
ただ、ずいぶん違った形になったのではとおもいます。
大空港、とそれが引き起こしたブームがなかったなら。
ふたつ
みなさんは、昔の洋画の題名は日本語に訳されたものが
ほとんどだったのに、いまは原タイトルを、そのまま
カタカナにするようになった。
それはいつごろからだろう。
それはなぜだろう。
そう思ったことはありませんか。
答えは
大空港以後から。
全米や世界中での大ヒットにもかかわらず、日本の興行
成績は悲惨でした。
わたしは高校生だった、ある金曜の朝に新聞の興行欄で
この映画に「本日限り」とあるのを見つけ、驚きました。
うそだろ、始まったばかりじゃないか。
当時の映画の興行形態は、大作を単館なら数ヶ月は珍しく
ありませんでした。
それなのに、2週ぐらいで打ち切りでした。
シネラマ名古屋の最終上映にやっとの思いで駆けつけた
わたしは館内をみてびっくり。
今はなき巨大劇場に観客は5人ほど。
場末の3番館ならともかくも。
映画がとてもおもしろかっただけに、映画館の閑古鳥の
鳴きっぷりは、一種異様な体験でした。
ですから、この映画を70mm(スーパーシネラマ方式)で
観た人は非常に少ないことでしょう。
ほどなくした後、キネマ旬報誌にこの映画の興行的失敗
についての記事が載りました。
興行価値のエキスパートである執筆者が強く批判したのは
題名でした。
原題 AIRPORT
邦題 大空港
大を余分につけたことを、まったく愚かなセンスだと批判
したのです。
制作費数十億円、オールスターキャスト、70mm超大作、
製作年数何年だのといったもろもろの宣伝コピーと大空港
というタイトルが衝突し、上滑りしてかえって安っぽい
印象になったと。
空港、のほうがずっとよかったと。
針のむしろだったでしょうね。
このタイトルをつけた人は。
他社で同様の仕事をしている人も震えあがったことでしょう。
続編からエアポートとなりました。
以降、洋画のタイトルは各社とも、そのままカタカナで、という
波がいっきにひろがります。
ちょっと情けないですね。
他のレビューを書いたかたがたが、この映画やその面白さについ
て充分語ってくれていますので、わたしはこんな思い出をちょっ
と書いてみました。
いろんな意味で画期的なこの映画をどうぞご覧あれ。
管制官の決断―ニアミス、大空港の危機一髪 (講談社プラスアルファ文庫)
ニアミス、空中衝突などの事故の経過などは詳しく書かれていて
実際の問題がどのように発生するのかがよく分かると思います。
筆者がB747とキングエアC90Aで体験飛行をして航空管制
のレポートをしていますが、プロのパイロット相手なのでもう少
し突っ込んだ質問をして欲しいところです。
キングエア機の飛行ルートをフライトシミュレータで再現してみ
るのも面白い。