大仏開眼 [DVD]
唐に学び帰朝した吉備真備、藤原家の血をひく阿倍内親王、そして藤原一門の実力者である藤原仲麻呂の織りなす人間模様を中心に、国家安寧のために大仏建立を携わった人たちの想いを描いた作品。
唐から帰朝した吉備真備は、阿倍内親王の教育役に任ぜられ、内親王に唐で学んだすべてを伝える。一方で、内親王も臣下である真備を師とも仰ぐ。母の実家である藤原家への反発から、内親王は皇位継承をはじめは拒むものの、真備の願いを聞き入れ、皇太子となり、皇位を継承する。この二人はお互いを認め合い、それぞれの理想のため、運命に立ち向かう。
藤原仲麻呂は、当初、日本を「美しい国」にしたいという理想を持ち、真備を同志のように思っていた。しかし、藤原一門四家の当主が相次いで病死し、藤原家の権勢が一時的に後退する中、権力闘争に身を投じ、橘諸兄を退けて朝廷の権力を掌握する。その権勢は、孝謙天皇(阿倍内親王)をも凌ぐものとなる。しかし、美しい国を作るための手段であったはずの権力が、いつしか仲麻呂の中では目的そのものに転じてしまっていた。
一途に理想を追求する真備は、仲麻呂に疎まれて筑前守に左遷され、遣唐副使として命懸けの任務に着く。当時の航海技術では、日本と唐を船で往来するのは、非常に危険な行為であったのだ。
真備は、遣唐副使の任務を果たした後、仲麻呂のもとを訪れる。そして仲麻呂が理想を見失い、権力を恣にしていることを指弾する。そのときの仲麻呂のセリフが痛々しい。仲麻呂も分かっていたのだ。自分が理想を見失っていたことを。そして、それとは対照的に「美しい国」を目指し続ける真備に、嫉妬し、圧倒され、そして、羨ましく思っていた自分に。
光明皇后が亡くなった後、後ろ盾を失った仲麻呂は朝廷内で孤立し始める。それとともに、仲麻呂と孝謙上皇との対立が表面化し、その激しさも増していったと思われる。追い詰められた仲麻呂は謀反を起こすも敗れ去り、命を落としてしまう。その直前に駆けつけた真備は、仲麻呂の最期の言葉を聞く。その言葉は、実のところ、自分では成し得なかった「美しい国」の実現を、真備に託したものではなかったか。
また、玄坊(「坊」は当て字。環境依存文字らしく、正しい文字は表示できない。)も悲しい男であった。彼は大仏建立に並々ならぬ意欲を持ちながら、一方で権力欲に取りつかれ、仏の道から自らを遠ざけてしまう。悲しいことに、彼が再び仏の道に戻ったのは、彼が自らの過ちにより九州へ左遷される直前であった。そして玄坊は、大仏を目にすることはなかった。
真備、内親王、仲麻呂は、三者三様ではあるが、同じ理想を追い求めていたと思う。しかし、立場の違いやしがらみから、違う道を歩むこととなり、お互い心の底では理解し合う部分があっただろうに、最後は心ならずも敵味方に分かれて戦わざるを得なくなってしまう。そこがなんとも、はかない。いみじくも心にしみいる作品である。
仏像ワンダーランド奈良 (JTBのMOOK)
各ページのコメントに多少お遊び的な部分があるものの、使用されている写真は写真集のようにどれも素晴らしい。お寺ごとの仏像の見所がしっかり書かれているし、一度行っただけでは見逃してしまう仏像の細部まで写真と説明が詳しい。また、奈良に行きたくなった。
仏像大好。DVD-BOX
テレビでの放映は見れなかったのですが、紹介されている記事を読んで購入してみました。
ゆったりしたお寺での散策(拝観受付から仏像に至るまでのアプローチが好きです)、中嶋朋子さんのユーモアと親しみのあるナレーション、仏像のじっくり映像など、堅苦しくなく癒される内容がとても良いですね。
奈良は個人的に大好きで幾度も散策していますが、本当に趣きのあるお寺があちらこちらにあり、全く飽きません。
このDVDでは、誰もが知る東大寺なども収録されてますが、それよりも室生寺や大安寺、浄瑠璃寺といった、それほど有名ではないかもしれませんが実は素朴で優美な奈良の魅力が多く見られるお寺、というものがしっかり取り上げられている点が特に良かったです。特に、室生寺といえば、あの世界的写真家の土門拳さんを虜にしたほどの名仏揃いですもんね。
東大寺 ~よみがえる仏の大宇宙 [DVD]
偶然観たのですが、予想以上に良い映画でした。
サルマの外見と演技があいまって、本当に画家を知ることができる映画になっています。
その絵を描いたときの描写と、実際のフリーダの描いた絵を映像に組み込む工夫も絶妙。
フリーダの生き方については賛否両論あると思いますが、ここまで芯を持った、自立した女性の人生を観たのは初めてでした。最後の方のシーンでの夫との関係もとても素敵です。
若くして大きな事故に遭い、生涯痛みと折り合いをつけながら生きていったフリーダ。波乱に満ちた人生を、一生懸命自分と向かい合いながら突き進んだ画家の生き様に、勇気をもらえます。特に女性に観てほしい映画です。