面(おもて)からたどる能楽百一番
演目は五番立のジャンル別に載っているので、本の中程には三番目物(鬘物。女性を主役とした能)に使われる女性面がこれほどか、というぐらい掲載されています。無表情の代名詞にされることもある能の女性面ですが、ページをパラパラとめくりながら見比べると、微笑んでいるもの、悲しんでいるもの、恨めしそうなもの、冷たく凛としたものなどその表情の豊かさに気付かされました。
Fact
サマソニのラインナップで偶然見つけたのが出会いでした。
曲の思わず踊り狂いたくなる疾走感と突き抜けていくようなボーカル、ひしひしと伝わってくるメッセージ。どれをとっても魅力的です。
彼らは日本人ということもあってか、歌詞の英語を聴いていても親しみやすさを感じ、言葉の違いを越えて感動します。
世界という厳しい相手に対しても変えないその姿勢は見習いたいものです。
この時代を、この瞬間を駆け抜けているこのバンドを応援していきたいと思います。
能面入門
シテ方金春流宗家・信高、評論家・増田正造、面打ち・北澤三次郎の三名による共著。
信高によるエッセイ、着付けの様子、増田による代表的な面について古今の名品を用いた解説、北澤による面打ちの案内 … と3部構成。文は何れも興味深く面白く、取り上げられている面は普段の舞台でお目に掛かる物がほぼ全て取り上げられていて、写真の出来も含めて素晴らしい。入手の容易な面の本では一番良い出来。能や能面に興味を持った人に、まず第一にお奨めしたい本。
観世流能 鉄輪(かなわ) [DVD]
谷崎潤一郎が著書「陰影礼賛」の中で語っている闇の美しさがここにある。明治・文明開化前の日本では闇夜を照らすのは月の光であったり、蝋燭やかがり火など、現代の照明器具に比べれば照度も弱く、その範囲も狭いのだが、日本の芸術文化はそのような陰影の中でこそ最も美しく映えるように作られている。それを注視せずに、歌舞伎や能などの舞台を西洋文明の照明を用いて広範囲を鮮明に見せてしまうのはそれらの美を半減してしまうと谷崎は嘆く。この鉄輪では、谷崎の助言に耳を傾けたかのように舞台照明に蝋燭を用いて見事に幽玄の世界を作り出している。その幽玄の世界で演じられる劇や囃子は真に素晴らしく、近年、歌舞伎や狂言のDVDは巷に出回っていたのだが、能のDVDがなかったので、能のファンにはたまらない一品だと思う。
開演前には、シテ役・観世善正とアイ役・野村萬斎による舞台挨拶、閉演後には観世善正の鉄輪に用いる能面の解説と「能と灯り」、亀井広忠のインタビューなどが含まれている。舞台挨拶で能はどのようなものなのかというのを簡単に説明し、公演中の謡も字幕表示が可能なので初心者にも楽しめる最高のDVDに仕上がっている。
読顔力 コミュニケーション・プロファイルの作り方 (小学館101新書)
「読顔力」とは、自分の感情を表現し、他者とのコミュニケーションをするために「表情」を使い読み取る力。
読顔力を身につけることで、
1.自分にとっての危険が何かを知る・・身近にある犯罪の芽に気づく
2.コミュニケーションスキルを上げる
1.身近にいる困った人、一見普通に見える犯罪者から自己防衛をするために、コミュニケーションプロファイルをつくる。そのポイントは、
・自分にとっての危険が何なのかを知る
「社会的危険」「生物的危険」「情報的危険」
・相手の表情を観察する
・表情に動きがあるか・・なければ作られた表情
・表情が偏っていないか・・本当の気持ちと表情があっていない
・なんとなく覚える「違和感」を大事にする
時折、自分と違うタイプの人たちとコミュニケーションをとり、「危険そうな違和感」を感じる力を養う。表情をまねて相手の感情を感じてみたり、継続的に観察したり、日常的に顔を見ることが必要。
2.コミュニケーションスキルを上げるには、
・表情(目・口・笑顔)を見る・・ex.右側だけ笑っていたら作り笑い
・プロファイル量を多くする・・相手に興味をもつ
・自分プロファイルをつくる
3.誌面テスト・・能面で読顔力を判定
何度もこの本の中で繰り返される「違和感」という言葉。
いろいろな人の表情・感情を体験してきた著者が大切にしているもの。
今まで、なんとなく 「嫌だ」と思う人に感じる「違和感」は、確かに表情から感じられていた。
作られた笑顔や、表情と言動のミスマッチ。
それだけのことなのに。「信用できない。」と思ってしまう。
しかしそれは、自分にとっての危険を察知していたのかも知れない。
「人は自分が作れる表情しか理解できない」という言葉が、悲しく印象的だった。