THE END OF EVANGELION ― 新世紀エヴァンゲリオン 劇場版
どの曲をとってみても、映画のシーンと完全にマッチしている。
特によくできているな、と感心したのが「偽りの再生」だ。
幼児期まで退行し、母に守られているという万能感を
得ることで復活しようとするアスカに対して現実は再び
試練を与える。
そして「空しき流れ」のシーンで根拠無き万能感は破壊される。
まさしく偽りの再生だったのだ。
ほとんど個人的解釈だが、こういった庵野氏の深い精神世界の
表現をサントラを通して理解していく作業が面白かった。
M☆A☆S☆H
~ 誰がなんと言おうがこのM☆A☆S☆Hはサロンミュージックの最高傑作!あの渋谷系のプリンスに懇願されて作ったサロンの大復活作であり、ブリットポップや渋谷系全盛の幸福な夏に作られた隠れた大名盤でもあります。
当時カヒミカリィのラジオを毎週聴いていた私はM3のwanna be tiedのウィスパーヴォイスとフィードバックギターに軽くはねるビート、直ぐに耳が~~反応してエンドルフィンがドクドク。
近所のレコード屋で見つけるなり、すぐにレジに持っていきました。帰ってからというもの家ではしばらくこのアルバムを鳴らしつづけていました。爆音で聴く開放感が好きです。
オルタナorシューゲイザーにも聞こえますが、マイヴラのようにリズムが単純なタテノリではなくしかもニルヴァーナのような暑苦しさはなしで~~す。少しアシッドジャズの反響のせいかオシャレ感すらする本当に希有なアルバムです。このアルバムの前やこのあともサロンミュージックはリリースを重ねていますが個人的にはこのアルバムがベストです。
今聴いても音の微妙なゆがみやトリートギターのハーモニー、ブルージーなギターのフレーズがいくつか重なったときやリズムのはねたときの快感はほかに~~はありません。
このアルバムを聴いてしまったせいか他の日本のアーティストの音の作り方が退屈に感じたりしました。プロトゥール以前の音ですが音響派・エレクトロニカ好きにもフィットする音だと思います。~
マッシュ [DVD]
朝鮮戦争の前線における、めちゃくちゃにぶっ壊れた軍医たちのお話。このウッドストックの翌年に公開された映画は、全編通して狂乱怒濤のコメディなんだけど、終わってみれば反戦・反体制映画になっているというところが面白い。
脚本を、アカ狩りでハリウッドを追われた「ハリウッド・テン」の一人、リング・ラードナー・Jrに依頼した時点からして、この映画が並のものにはなりそうにないわけだけど、監督と俳優は、この脚本すら無視して全編アドリブに次ぐアドリブで作ってしまった。
「おれの台詞は一行も残っていない」と、ラードナーは本気で激怒したらしいけど、皮肉なことに彼はこの作品で、アカデミー脚本賞を受賞している。
ロバート・アルトマン監督はTVシリーズ「コンバット」の演出をしていた人だけど、あの作品も、派手なアクションとサンダース軍曹のかっこよさを、ちょっと遠目に引いてみれば、やはり反戦作品だったことがわかる仕組みになっている。そしてこの『マッシュ』は、朝鮮戦争を舞台にしながら、実はベトナム戦争を描いていた。
当時、20世紀フォックスは『トラ・トラ・トラ』と『パットン大戦車軍団』の二つの戦争大作の製作にかかっており、本来、許されないはずの、このはちゃめちゃ映画に目が届かなかったらしい。編集ラッシュを観て、幹部は腰を抜かし「史上最悪の映画になる」と言った由。そこから強烈な干渉が始まるのだが、なんとか実現した試写で、観客が大ウケだったことから公開にこぎつけた。
主演のドナルド・サザーランドは、当時、極貧にあえいでおり、これが出世作になった。350万ドルという低予算だったため、この作品で実に10人の俳優が、相当重要な役どころでデビューしている。
以上、蘊蓄部分は特典映像より。絶対におすすめの映画であります。
マッシュ [DVD]
これは、朝鮮戦争時代の陸軍野戦病院の物語である。
確かカンヌ映画祭「グランプリ」を取った作品であったと思う。
この映画は、昭和45年(1970)に東京有楽町のロードショーで見た。
確か、試写会では210分(?)であったと淀川長治氏が述べていた。
しかし、この淀川長治氏が「映画が長い」との鶴の一声で劇場公開は120分に短縮された。……よほど嫌いであったのかもしれない。
よって、全編は日本では見られなかったのである。
ところが、DVDになってそこから4分もカットされた。
実は、これで物語の重要なテ−マが曖昧になってしまった。
さて、うろ覚えにカットされたシーンを考えてみると
1.手術のシーン多数。その他野戦病院の激務実態描写。
特にドナルド・サザーランド(ホークアイ)などが名医であると言うシーン。介添えの看護婦があまりの鮮やかさに驚く…という場面。
これがないと、ホークアイが病院の中で早くも尊敬を集めるという設定が解らない。
2.韓国人の手伝いの青年の徴兵検査を逃れるシーン。これに続いてこの青年が負傷してこの病院に担ぎ込まれるシーン
3.フットボールの練習のシーン。…院長が経験がない等の「笑えるシーン」
4.日本でのゴルフのシーン但しこれは、劇場版でも未公開。
5.フートボールの試合のシーン多数。
6.その他ホットリップス事サリー・ケラーマン扮する婦長(少佐)に纏(まつ)わる数多くのシーン。
7.そのたコメディとしての戦争の馬鹿馬鹿しさを表した多数のシーン。
要するに、これは「反戦映画」なのであるがさっぱり分からないものになってしまった。
それにしても、韓国人少年が最初に簡単に徴兵検査を逃れるシーンと中国が参戦して戦争が激化するシーンが省かれ、従って徴兵検査が厳しくなって少年が徴兵されるシーンもカットされた。
これもどう考えても意図的にしか思えない。
120分の映画を116分にカットする意味が不明のものだった。