女帝 わが名は則天武后
武則天は中国の歴史が変わるごとにその評価が大きく分かれる女帝として非常に有名で、
何の後ろ盾もない一介の女官(正五品)から女帝へと上り詰めたドラマチックな生涯と冷酷無比な処世術と中国史上かつてない繁栄と善政を敷いた事も有名よね?
日本の歴史的女性に例えると、持統天皇や北条政子か道鏡と恋仲になった孝謙天皇みたいな感じかな?と
この御伽噺も、それらの史実に従って武則天の幸せだった幼児期から父を失い父の実家に戻るも前妻の兄弟等からの冷たい仕打ちを受け、奇偶とも言える後宮入りを果たした波乱の子供時代と、
若年期の後宮の女官時代〜尼僧時代。尼僧から女帝へ君臨しその後の晩年期を描いています。
しかし、作者自身が子供の頃から詩を書く事で名をはせた方なので、武則天の生涯に起こった史実に比喩的かつ抒情的な詩的文体を絡め、装飾的に書きすぎた表現が多く、
中国の男尊女卑的な儒教社会が生んだ武則天の生涯全てに関する歴史的解釈の誤解を解く為もあったのでしょうが、かなり美化し過ぎた感じがしてそれが逆に退屈に感じました。
もう少し写実的に人間同士の言葉のやり取りや底から生じる心の葛藤や憎悪と愛情が様々な形に変化(へんげ)する姿を描いてほしかったと思うのね。
ですから、この本がフランスで売れたと言うのも作者の山楓氏が天安門事件から危機感を感じ単身フランスに逃れた波乱の人生と同時に、
トルコのハーレムとはまた違った意味の、中国皇帝の後宮に集う女性達への興味と東洋趣味が高じて西洋人の心をつかんだのだと思うわ。
読んでいて、作者の遠く離れた故郷中国への望郷の念を感じると同時に、ラルフ・タウンゼントの「暗黒大陸 中国の真実」の中の一説「中国人は自分の国の悪しき部分に辟易している癖に、人前では平然と「静かに微笑む華の国」と母国を評する」と言う言葉が浮かんだわ。
様々な中国関連の歴史書や事実本を読んだ人達なら興醒めする本だと思います。あまり好きな本じゃないので★3。
則天武后と玄宗皇帝 (PHP文庫)
本書は中国史上唯一の女帝・武則天(則天武后)から、彼女の孫に当たる李隆基(玄宗)までの四代に渡る歴史の推移が描かれた作品です。
漢の呂后、清の西太后と共に「中国三大悪女」の一人に挙げられる武則天ですが、二代の皇帝(太宗・高宗)の寵愛を撥条に垂簾政治を敢行し、自ら専制君主として周朝を創設していく様が小気味良く描かれています。
本書では彼女の残虐非道な性情にも触れられてはいるものの、主に統治者としての外交・政治・人材登用能力や中宗・睿宗兄弟を厳しく躾る母親としての側面等が多岐に渡って言及されています。女帝として辣腕を振るう彼女の姿は、我欲に突き動かされていると云うよりは、天下静謐を掲げ自己を顧みずに身を投じていると云った印象の方が強く残りました。
この様に苛烈な烈婦と称される武后から並々ならぬ愛情と薫陶を一身に受けたのが、本書のもう一人の主人公・李隆基です。彼は武后・韋后を跨る「女渦」の弊害を取り除き、後に「開元の治」で唐朝最大の隆盛を齎すことになりますが、この善政を可能にした素地に武后の変革が大いに貢献していたと云うのは歴史の皮肉を物語るのに足る内容でした。
一見好対照の性質に映る両人ですが、武后は張易之・張昌宗兄弟を、李隆基は息子の妃・楊玉環を偏愛することで次第に国政を傾けていくと云う同様の晩年を迎えていきます。
国益の成果とは裏腹に、権力者として長年君臨することの懊悩が心身を蝕んでいき、寵臣・寵姫に没入することで自己の空虚を満たそうと足掻く様が生々しく描かれているのも本書の特徴です。
此までも岡本氏の中国歴史作品には何点か触れる機会がありましたが、その中でも本書程楽しめる作品には出会いませんでした。岡本氏の作品は元来読み易い文体で構成されているので、幅広い読者層に受け入れられる作品だと思います。
則天武后 DVD BOX
以前NHKで放映されてから、まったくDVDが出てなかったのでうれしいDVD−BOXでした!
「芙蓉鎮」で有名な劉暁慶ですが、私自身はこちらが先だったのでこっちが劉暁慶のイメージが強い。いろいろあった彼女だが、復活して今なお現役。悪女をさせたらぴか一女優(笑)
歴史的なところで導師じゃなくて尼さんになったり、後半の歴史のくだりが史実と違うらしいというのを後から知った。
彼女の西太后は一度見ておきたい…
西太后 (完全版) DVD-BOX
本当ですか。本当にあれがDVDになったんですかやっと、という思いです。
「続西太后」を昔劇場で観てハマってしまい、「西太后」もレンタルで観ました(昔は両方地上波でも放映したんですよ!)。
面白いです。
何かこのテの作品に偏見を持っている人には、「1人の女性の痛快出世物語」と思って観てほしいです。
ヒロインがのし上がります。色々な男性キャラも登場しますが、勝てません。
「ラスト・エンペラー」より前に、本国で、紫禁城を使って撮影しまくってます。映像がリアルです。ヘンにオシャレじゃなくて本当に普通に当時の雰囲気が出てて、生々しいところがいいです。
この映画を観て、大学で中国史を学ぼうと決めたぐらいです。
八里橋の戦いや円明園の破壊略奪など、西洋との戦争も詳しく描かれています。
残酷シーンは、まあ西太后のそういうエピソードはほとんど則天武后のそれのパクりで、伝説に過ぎないんですが、ちゃんとやってくれちゃってます(笑)。続編の方がラストはエグいかな。
それに、レオン・カーフェイのデビュー作で、続編はコン・リーの実質デビュー作みたいなもんです。実はお宝作品です(笑)。主演のリュウ・シャオチンは「芙蓉鎮」の人だし(こっちでは可愛い女性役)、日本でもBSでやってた「則天武后」でも主演してます(女帝女優…(笑))。チェン・ダオミンも同治帝役で出ている(コン・リーと悲恋を繰り広げます)。
しかし、「ラストレンペラー 火龍」までくっつけてBOXというのは、明らかに抱き合わせですね。やっぱり、単独では売れないと考えられているんでしょうかね。ファンとしては残念です。