八つ墓村 [DVD]
ゾっとするのは、生首が笑う・犯人の形相が変異する・恨みを晴らしたかの様に大地に落武者が立つ・・などというイメージ映像ではなく、犯人が判明し、金田一が『犯人自身も知らないであろう不思議な事実』を語る場面だ。ここで一気に『日本人にしか通用しない恐怖』が噴出する。
『皆が死んでから犯人を解明する金田一のもどかしさ』は良く伝えられることろだが、本作品についてはそれが幸いしているか。
ラストシーンでエピソード的に辰也の実父の出自について触れている部分はご愛嬌だが『偶然か否か』を云わぬ決着が観る者の恐怖を持続させ『何度観ても背筋が凍る』作品と感じるのは私だけか。
そして散り桜の下を狂走する山崎努の映像は人間業とは思えない、否『誰にも在る心の闇』が映像化されて!いて映画に詳しくない私からすれば、役者の力量によるのか監督の才能かはたまた優秀なカメラマンのせいかは知らないが、記憶に焼きつく『恐ろしくも美しいシーン』だと感嘆するばかりだ。
PS
豊川悦司主演バージョンが比較され不評な声が多く私も反対はしないが、10代の若い世代が両作品を観てどう感じるのかという点にとても興味がある。
傷だらけの天使 Vol.1(Blu-ray Disc)
日本初じゃないでしょうかね?!
ここまでロックなフィーリングが息づいた作品は。
というか「最初で最後」の作品かもですね!
さまざまなヒーローなりキャラクターがドラマには登場するワケですが
ここまで鮮烈に存在した偶像はおそらく後にも先にもないでしょうね。
萩原健一の表現者としての世界観の理解度・構築度は世界レベルですね!ホント。
肌感覚での瞬発力というか、伝達力の確かさは既に孤高としか言いようがないです。
『前略おふくろ様』同様にいつまでも大切に遺していってほしい作品です!
ショーケン
ショーケンという不可思議な魅力に引き込まれたように読み始めました。彼の口調を思い出させるような文章で、慣れるまで違和感を感じますが、整っていない文体のため逆に生な感じが伝わってきます。何とも不思議な魅力を持った本でした。テンプターズで人気者になって、「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」ではにかんだ表情をみせる役者に転進したショーケンですが、一直線に進んだ道ではなく、非常に屈折していたことを知りました。その頃、特に役者の勉強をしたわけでもないのに大物監督が次々と彼を起用するのですが、その理由もわかってきたように思います。いろんなタイプの映画をよく研究していて、この役は、あの感じでいこう、といった風に、自分で役を作ってゆくのですが、役者としては天才肌の人物であったと思わせます。麻薬で捕まったりしますが、ある日を境にきっぱり辞めたりと、ワルでありながら真面目な性格も兼ね備えています。CMに出演したらその会社の製品しかつかわないそうです。昔気質な面も持ち合わせていて、やっぱり不思議な魅力があります。自分自身でも説明のつかない無軌道な生き方ながらも一本、筋が通っているようにも感じます。生真面目な不良少年のようです。もう一度ショーケンの映画を見てみたくなりました。
男唄~昭和讃歩
木村と近藤という顔合わせ、このコンセプトにこの選曲。こりゃ買うでしょう。
渥美清の「泣いてたまるか」から植木さんの「これが男の生きる道」に西岡恭蔵の「プカプカ」その他、なかなかの選曲じゃないの。これをブルース唄わせりゃ泣く子も黙る木村と近藤がどう料理するか、ってな企画で、日頃、中古か輸入盤が中心で、値段の高い日本ものの新作なんて滅多に買わない私でも即買いでした。
だけど聞いたらちょっと肩すかし。大昔の憂歌団の「君といつまでも」みたいな破天荒なのをちょっとだけ期待してたんだけど、割と今風のアレンジでお行儀よくまとまってる感じ。なんか全体に歌い込み不足というか、アイデア不足というか、この2人が昭和の歌謡曲を歌うという企画にだけ頼りすぎというか、とにかくなんか物足りない、かゆいところに手が届かない感じ。うーん、ライブで観たらまた違うんだろけど。
日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
ショーケンに対して“チンピラ”というイメージが役柄から強かったのですが、
企画・製作も考えて色々やってきたんですね。
妙に映画に詳しいのに意外な印象を持ちました。
沢田研二に対するライバル意識、そして
市川昆に対する反発、嫌悪をストレートに出してます。
面白いのですが、雑談的なところで終わってしまったので残念。
もっとショーケンの世界が俯瞰できる構成・内容になっていればよかったんですが。
ちょっと中途半端な内容。