サンガジャパン Vol.3(2010Autumn)
3刊目となったが、今回のテーマは仏教と心理学の関係についてで、今までの中で一番記事にまとまりがあって、どの記事も興味深いものだった。仏教僧、心理学者、精神科医など様々な分野の専門家が執筆しているが、それぞれ異なりながらも、おぼろげながら共通点が浮かび上がってくるところがおもしろい。沈黙行と言えば、ヴィパッサナー瞑想が有名だが、キリスト教の鈴木秀子シスターは2年半もの壮絶な沈黙行を経験されていて、非常に興味深い記事となっている。
スマナサーラ長老と香山リカ氏の対談は、長老が一方的に仏教を語るのに対し、香山氏は納得せず江原には癒し効果があるなどと言って否定されている。ちょっと接点がなかった気がする。
連載の宮崎哲弥氏の今回の対談相手は浄土真宗の釈徹宗師。他力とは、往生と成仏とは、悪人正機とは、還相回向とは、わかりにくい真宗の教えを宮崎氏が鋭く問いただす展開が実におもしろく、真宗理解に役立った。
今回は付録DVDがない代わりに巻末に記載されたサイトにメアドを送ると動画をダウンロードできるようになっている。がんばれ仏教というタイトルとかけ離れた討論会になってしまっているが、スマナサーラ長老と若手エッセイストの応酬や、日本仏教や僧侶への苦言の発言もあり、楽しい内容になっている。
コンセント [DVD]
ストーリーは何だか冴えないサイコ・サスペンス調でどうでもいいのだが、主役の市川実和子の迫真の演技というかヌードが売り。その裸体で大学の研究室でのセックスと、もう脱ぎまくってます。しかも脱いでるだけでなくヤリまくってるんだから最高。星は全て彼女の分です。
蛇と月と蛙
この著者の本を読んだのは初めての体験。
「小説トリッパー」に掲載された短編小説、エッセイをまとめたもの。
「影のはなし」と「むしがいる」は、人間の第六感(シックス・センス)が主題ともなっている。
「影のはなし」は、おそらく誰にでも体験したことがあるような、身内の者に不幸が起こる前の不思議な勘を中心に描かれていて共感できた。
「むしがいる」は、大人になる前の感受性が豊かな子供だけがもつ鋭い感覚で、悪しき魂「むし」をかぎわける話。
「4か月、3週と2日」は、堕胎をテーマに扱ったルーマニアの映画でカンヌ映画祭でパルムドール賞受賞映画のタイトル。
著者がルーマニアに招かれた際のエピソードが書かれていた。
日本人の性意識と性の解放について、ルーマニア人、アメリカ人の女性の見解の相違が面白い。
日本の女性が、性的に非常にオープンで過激だと思われている事が、興味深かった。
「河童と遭う」は、沖縄で起こった不思議な体験の小説。
この小説は、文体が途中で変わる箇所があり、あまり感情移入できなかった。
「月夜の晩に」は、寝たきりになった養母を介護している女性が主人公。
彼女を子供の時に捨てた身勝手な実母と二人で、余命いくばくもない養母を囲み病室で向かい合う心の葛藤と、月と生命体の強い関連の神秘性を描いている。
タイトルになっている「蛇と月と蛙」は、「蛇」やその他の動物との性的な体験などの物語、告白集や詩など。
魂や精神とは切り離された「肉体」の意味と神秘性、宗教的な意味合いを持つ肉体の捉え方が書かれ、性的関係が他者と最もエネルギーに満ちたものである点に、改めて気付かされる。
独特の神秘的な精神世界へ誘われるような感じの本。
全体的に文体は読みやすかったし、著者の他の本も読んでみたいと思った。
アニミズム、スピリチュアル的な本が好きな方にはおすすめ。
生きなおすのにもってこいの日
苦しく先が見えない世の中に、一筋の光が、思いたどって読み進めていくと、そこは私の足元。全ては私の魂から始まっている。「うっかり自殺」「カオスに生きる」などなど、おもしろい見方があるもんだ。
アンテナ スペシャル・エディション [DVD]
荻原家を突然襲う悲劇「妹の失踪」
同居していた伯父は、自殺。
父親の病死、母は宗教にのめり込み、弟は精神病院へ入院してしまう。
それをどのように纏めあげるのか、熊切監督の着眼点が見ものだ。
抑圧された感情や体験を言葉や行動として外部に表出して、
心の緊張を解消していく様が荻原家の人間模様を土台に上手く表現されている。
主人公の荻原祐一郎役を演じる加瀬亮の演技力も見どころ。
この作品の奥行きを上手く表現。すごい役者だ。