カンナ 天満の葬列 (講談社ノベルス)
カンナシリーズ第7作目。
シリーズが全9巻を予定しているということで、これまで少しずつ進んできたのに比べると、物語そのものもスピードアップしてきたというか、大きな動きが見え始めたように感じる。残り2作で、どのように決着がつくのかまだわからないが、まだまだもう一山二山ありそうなので、期待して待ちたい。
また、ストーリーの展開ともう一つ、「歴史」というのもこのシリーズの重要な要素だが、これまではどちらかというと、QEDシリーズなどどこかで目にしてきたものを、改めてなぞっている、という印象があり、物足りない感じがしていたが、今作はそちらの面でも、良い意味で期待を裏切ってくれたというか、自分も作中の人物たちと同じく先入観で見ていたというのを気付かされて、その意味でも、今作は十分に満足の行く出来だったと思う。
毒草師 白蛇の洗礼 (講談社ノベルス)
毒草師シリーズの第2弾。
本筋の展開は序盤で見えてしまいますが、それでも突拍子の無い展開はある意味、快感ですらあり、高田ワールドが大好きな人にはお薦めです。今回は「毒草師」という職業名に隠された謎(というほど大げさなものではありませんが)も明かされますので、興味のある方は是非。また、今後、QEDシリーズにも外伝などで絡んできそうな終わり方のように思います。
ちなみに、今回の蘊蓄ネタは千利休キリシタン説です。QEDほど蘊蓄は詰まっていませんが、それなりに楽しめます。
それにしても、このシリーズは、今後、高田さん版「男はつらいよ」=「マドンナと失恋」になるのでしょうか(笑)