LIVE IN LONDON [DVD]
アルバム「イン・ブルー」がリリースされた頃のライヴで、選曲もそのアルバムからの曲が中心。DVD版は、ボーナス特典満載で、好きなメンバーだけをみていられるマルチアングル機能、メンバーのプライベートが伺える特典映像は、とても嬉しい。また、ジョン・レノンが1972年に発表した永遠のクリスマスソング、「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」のカヴァーもDVDだけに収録されている。これによって、DVD収録が行われたウェンブリーアリーナでのライヴが全曲収録されたことになった。スタジオでの音源を利用していることもあり、星5つはあげられない。しかし、去年12月のBBCでのライヴ音源では、スタジオ音源に頼らずに演奏するコアーズの姿があった。これからもがんばってほしい兄弟バンドの1つだ。Runawayや、All the Love in the Worldはアンプラグド・ヴァージョンで披露され、キャロラインのピアノも堪能できる。コアーズのライヴ映像が欲しい方は、まずこれを買いましょう。
レナード・コーエン伝
本書の帯には「この男の人生を知らずに生きるのは勿体ない。」と書かれているが、コーエンの女性に対する身勝手な振る舞いの歴史は、女性読者に嫌悪感をもたらすのではないのか。知らずに彼の音楽を楽しむか、知って彼の音楽に深さを見出すか...
訳者もあとがきで述べているが、資料は膨大だが整理しきれていない。例えば「彼は破産し、膨大な債務を抱えた(P.334)」と書かれているが、何故彼が破産したのかよく分からない。
ボブ・ディランにもルー・リードにも才能を認められており、母国カナダでは奨学金を得て、様々な多くの賞を受賞しており、なおかつコーエン自身が、ある自身の作品を「この分野ではジェームズ・ジョイスの『若い詩人の肖像』以来の最高傑作なんだ。僕は完全に、バカな文学者たちに無視され、葬られようとしている(P.151)」と言っている彼の詩集や小説が、‘翻訳大国’日本で何故ほとんど翻訳されていないのか不思議だ。
グレース
比類のない声である。そして美しい。
“声の力”をこんなに感じられるアルバムはそうそう無い。
誰の言葉か忘れたけれど、あまりに圧倒的なものを前にすると人は言葉を失うらしい。
彼の声にはそういった力がある。
何度聴いても、彼の声に、その美しさに圧倒されてしまう。
宝物です。
I'm Your Man
レコードジャケットって結構中身のクオリティを反映するのだけれど、レナードコーエンの場合、結構食い違っていることが多々あり。このアルバムもそのひとつ、ジャケットだけだと「どうかなぁー」と思うのだ・・・。が!!いざ聞くとのっけからやられます。全曲すばらしいが、1.First We Take Manhattanの切り込むような詩や、5.Take This Waltzの女性ヴォーカルとの掛け合いの絶妙さ、やはり女性好きのレナード大先生です。そしてなぜかカントリーの大御所ハンク・ウィリアムスへの賞賛とも哀れみともつかぬ深遠なる8.Tower Of Songで締めくくられるこのアルバムは傑作です。話はジャケットに戻るが、なぜかバナナを持つ本人の単なるポートレイトジャケットに、他のミュージシャンたちも「れれれっ?」と思いつつ。みんなはめられているようで、トリビュートアルバム「I'm your fan」では各アーティストがバナナ持っている写真です。でも誰一人として曲はレナード本人の声には勝っていないと思います。
Songs from the Road
ヴェリー・ベスト・オブ・世界公演で良いのだろうか? "Live in London" 持ってるんだけど・・・" の声が聞かれそうなので、その辺りをレビューしてみる。見事に統一されたステージはバラツキなし。ロンドン公演とも自由に置き換えできそう。カリフォルニアの屋外フェス("ハレルヤ"の凄い盛り上がり)がなければ、好評のため、もう一公演分追加しました、で通りそうな雰囲気。ステージの流れや、メンバー間の機微、主役の語りというならロンドン公演を。長すぎる?、極めつけをというなら、こちらか。ダブリは4曲のみ。私としては新旧あわせての残り8曲がやはりうれしい。"Avalanche"や"That Do'nt make it Junk"。特に後者は私的にはベストトラックかと。(最新作からの作品であることに注意!)まずDVDで楽しんで、CDをじっくり聴き込むのがよいでしょう。やはり、音的にはCDです。(DVDは問題なく動作しました)以下、老婆心ながら。"Famous Blue Raincoat"は、オリジナル("愛と憎しみの歌"収録)の昔から、作者は最後にSincerely L.Cohenと歌っているわけで、この手紙形式の私小説ソングは、この締めでグッと来るわけで、もちろん他人様はL.Cohenというわけにいかないから、a friendと・・・ CohenにしかCohenといえない、その辺りにオリジナルの凄さがある。(ご一聴あれ!) Dylan is Dylan. Cohen is Cohen.