中国帝王図 (講談社文庫)
『中國帝王図』という題名に魅力を覚えて購入いたしました。皇帝のみならず周代までの王公や項羽、李自成など覇王、僭帝をも収録した面白い作品になっております。しかしながら、肝心の図版が風格に欠ける現代コミック・タッチの様式で描かれているので、やや軽く見流してしまいがちな点が残念でなりません。技術的にはさほど見劣りする手腕の画家ではないため、今後さらに新たな「百帝図」にトライして貰いたいものと存じます。
黒猫の三角 (あすかコミックスDX)
私は原作を知らず、皇なつきさんの漫画だから、ということで購入しました。初めは正直、歴史ものではないので同じ雰囲気が味わえるかどうか不安で戸惑っていましたが、今となれば早く買っておけばよかった!と思います。
現代物であろうとファンタジーであろうと皇なつきはやはり皇なつき。それを実感しました。
ミステリーといっても江戸川乱歩やコナン・ドイルのような物質的な解明をするのでなく、哲学的な要素も多分に含まれています。前者の方が好きな方は受け入れにくいかもしれませんが、私は小説ではなく漫画のミステリーとして、十分通じると思いました。結構考えさせられます。
小説でもかなり分厚いミステリーものはあるのに、漫画でこれだけのページで解決するのかな、とも思いましたが、全然無理なところもなかったですね。
原作を作った森博嗣氏、それを見事に漫画化した皇なつき氏に拍手!
皇なつき作品集「画趣」
恥ずかしいのですが、皇さんの「夢源氏剣祭文」という単行本をジャケ買いするまで、こんなに上手い描き手の存在を知りませんでした。すっかりファンになって「画趣」を購入したのですが、目から鱗が落ちるほど驚きました。息をのむというのは、こういう感情のことをいうのですね。本当に、見応えのある作品集です。
また、とてもシンプルな画面構成で編集されているのが、見やすくてありがたいところです。