ルー・グラム・バンド
10年ほど前に脳腫瘍を患いシーンから姿を消した希代の名ボーカリストがリーダーバンドを率いて復活した。グラム3兄弟がそろい踏みしたこのバンド編成にルーを気遣う兄弟愛を感じたりもする。70年代後半から80年代前半にオンタイムで彼らの音楽に接したファンの一人として素直に感動した。まず星は1つオマケしたい。
ジャケを見てルーの面変わりには正直ビックリはした。薬や治療の影響かどうかは分からないが、スリムで小柄だった彼が、まるで巨漢のように映っている。ただ、唄声には往年の色気やソウルフルさは残っている。ハイトーン部分の陰りは否めないがそれでも、この声を聴きたかったのだから、それだけでうれしい。
音楽性はフォリナーに通じる、メロウでブリティシュ、適度にキャッチー適度にブルージーなものだが、やはり希代のメロディメイカー、サウンドつくりの名手であった盟友ミック・ジョーンズ不在なだけに決定打となる曲には欠ける。
またサウンド自体も、アメリカで大成功したにもかかわらず全盛期はリズムセクションがイギリス人だったこともあり、適度に渋さを持っていた部分が妙に明るくクリアすぎる部分が少し音楽性にそぐわない気もした。
ただ、フォリナーのファンの方は買って損はないです。ここまで復活してくれたのなら、フォリナーに再加入なんて、夢がかなうかも。
どうして私、片づけられないの?―毎日が気持ちいい!「ADHDハッピーマニュアル」
ADHDの特徴と生活上での問題点をわかりやすく説明してあり、それに対する具体的な対策がたくさん示されていて非常にためになります。
ADHDでない人にとっても、生活上のヒントとしてためになる情報が得られるものと思います。
随所随所に出てくるネコのイラストもほんわかとしたタッチで可愛いです。
ただ、例えばスケジュールの組み方などをイラストで図示しているところなどは字が小さくごちゃごちゃして読みにくいのが玉に瑕です。これさえなければ星5つだったのですが・・・
日々コウジ中―高次脳機能障害の夫と暮らす日常コミック
この高次脳機能障害は一般人には分かりにくいもので、一般の人に「記憶が…」という話を振ると、「それなら僕も同じで、物忘れが激しくて」などと言う人が99パーセントである。しかし、このような単なる「加齢による物忘れ」の人は大体何でもかんでも忘れるのだが、高次脳機能障害によく見られる物忘れは「覚えていること」と「忘れてしまったこと」が共存し、それどころかむしろ健常者よりも遙かに正確に覚えているものである。
加齢による物忘れは大体において何でも忘れるのが普通だが、高次脳機能障害は「何を忘れ」そして「何を忘れない」のか、その線引きが難しい。それはあたかも「脳の中にある損傷によって、一部の経路が壊れた迷路」なのである。壊れていないところは正常に普通に通ることはできるが、壊れたところは何人も通過することはできない。健常な人や自分を健常だと思っている人間には「ふざけているのか」と思われてしまうことも多いであろう。
高次脳機能障害は「病気」では無く「症例」の総称である。映画「ガチ・ボーイ」のように、その日得た新しい記憶が寝るとリセットされてしまうような場合もある。
これまでこの高次脳機能障害にはついてはあまり書物がなかった。見た目にわかりやすい身体の傷害の書物は数え切れないほどあるのに、数えるほどしかなかった。そこに本書がマンガの形で登場した。可能な限り多くの人に読んでいただきたい。そして理解して欲しい。
この症例にもすこし明るいところもある。それは発症してから、もう一度時計を戻して発達の段階をもう一度たどっているように思えることである。彼らは常に、絶えず進化し続けるのだ。