物理・モーター 手作りリニアモーターキット
これは、良いです。
フレミングの左手の法則を確認し、実感するには格好の教材です。
組み立ては簡単です。
レールは紙製なので、耐久性はまったくありません。耐久性を求める人は買ってはいけません。
磁石は、粗末な強力磁石なので、実験を行うと手が黒くなってしまいます。
また、この磁石はちょっときれいにしてから、使わないと、磁石を固定する両面テープの粘着力に影響します。
磁石を固定する両面テープは自分で別途購入して用意する必要があります。
超伝導のリニアモーター実験ではないので誤解しないでくださいね。この値段ですから。
3D鉄道シミュレーション -RailSimIIでマイ列車を走らせよう- (ijデジタルBOOK)
このシミュレーション・ソフトはフリーのダウンロードでも入手可能で、それだけでもある程度遊ぶことができます。しかし。プレイしているうちに必ず自分のオリジナルの電車、施設、風景を作ってみたくなるでしょう。本書でそれができるようになります。「Å列車で行こう」シリーズに比べると、サウンドがないこと、鉄道経営の面白さはありませんが、鉄道ファンにとってはこれで十分ではないでしょうか。本書で作成した風景コンテストの作品などを見れば、これはクリエーション、アートの世界です。しかも「A列車」に比べるとこの価格は破格の安さ。鉄道ファンの喜びを重視したプロデューサの意気込みが嬉しい。
科学技術は日本を救うのか (DIS+COVERサイエンス)
事業仕分けの俎上にものった科学技術振興機構のトップによる科学技術および経済論。
第一章では、世界的研究開発競争に対応するために、日本の科学政策や大学が改革されてきた背景と、その改革により日本の研究レベルが上がってきたという成果が強調されている。
第ニ章では、日本の景気低迷の原因は、貿易黒字のために海外投資が増え、国内での製造、技術開発への投資が減少したためだと分析している。
第三章では、景気回復のための策として、また若い世代が共感できる課題として、社会的・精神的に価値のあるもの、具体的には環境問題、低炭素社会へ投資することを提案している。
第四章では、サハラ砂漠での太陽光発電や超伝導を利用した送電計画など、壮大な計画が語られている。
語り口は柔らかく、データを駆使して読みやすい内容になっている。しかし、第一章でここ10-15年の科学政策の成果を強調する一方、負の側面としての大学間格差の拡大、研究ポストの不安定化、ポスドク問題、大学院後期課程離れ(要するに研究職は割に合わないと敬遠されている)などの問題に関してはあまり触れられていない(地方大学の生き残り策はあったが)。人材が寄り付かないままでは、研究レベルは緩やかに衰退していくだろう。大学などの研究現場では、日本を救うどころか、自らの存続にも不安を抱いているかもしれない。その部分の原因分析と対策を素っ飛ばして日本経済を語ったところでピンと来ない。日米の大学の予算比較は興味深いが、簡単にまねできる話でもない。第三章の後半の内容はまさしく、今後の科学政策の柱のひとつだが、改革がいまだ過渡期で明らかに綻びが表面化しているのに、そこから目をそらして夢を語ったところで、絵空事に感じてしまう。
期待していた内容とは少し違ったが、それでもトップが自らの言葉で科学と社会との関わりや、ビジョンを語ること自体は意義のあることだと思う。科学技術が少しでも社会の役に立つことに期待を込めて、星四つ。
発掘!鉄道記録映像 DVD-BOX
まず要修正。内容の欄に「全13話を収録」とありますが12話しかありません。欠番は南海電鉄の回。南海がソフト化を渋るとも思えず、3話×4巻の商品フォーマットに整える、それだけのために欠番にしたとしか考えられない。「BOX版初回限定の付録ボーナスディスクに収録」とかどうにでも商品化のしようはあるだろうに…。
記録映画自体は大変に面白いです。武蔵野操車場の規模とメカニズムの精巧さが伝わってくるのは、新設当時の記録映画ならではでしょう。その後の悲運を知っているだけに、涙無しでは観られません。また、当時の鉄道会社の主張が伝わってくるのも興味深い。「生活のなかの鉄道-ローカル線」とか、タイトルに騙されちゃいけない。国鉄による、「ローカル線は私らにはお荷物なんですよー、地方の生活交通はバスに任せて廃止しちゃっていいでしょ?」という静かな訴えだったりします。あるいは、山陽新幹線岡山開通の時代には、物流もまだ鉄道に大きく依存していたことなど(つまり、旅客列車と貨物列車とで山陽本線の線路容量が限界近くなっていたために旅客列車の別線化=新幹線建設が必要だった)、現代では見落としがちな時代背景にも気づかされます。
もちろん単純に、「懐かしのあの路線が、あの列車が、あの車両が映ってる!!」というお楽しみも十分。まずは値段分の価値はあるといえるでしょう。
余計なのが司会のダーリンハニー。これといってマニアックな発言も無く、さりとて無知故の意外な視点や鋭いツッコミも無い。解説の佐藤信之先生から話を引き出す役にも立っていない。司会役が不要とはいわないけれど、これは明らかにミスキャスト(それとも脚本が悪いのか?)。
しかも、1話につき1チャプターしかないので、「ダーリンハニーが出てくるところを飛ばして記録映画だけを続けてみる」なんてこともできない。チャプターを切る手間を惜しむくらいだから、音声も1種のみ。「ダ(ryの声の入っていない、記録映画だけの音声」とか、セルDVDなら選択できて当然だと思うのですが。全13話を12話にした件も含め、「メーカーの都合優先、元のTV番組をただDVDに焼いただけ」のやっつけ仕事が残念。